今回お話を伺ったのは、千葉県在住の伊藤由美子さん(仮名・50歳)。幼少期に母親から虐待を受けていた伊藤さんが、その母親の認知症介護に直面することになった経緯と心境の変化について、重い内容ではありますが率直に語っていただきました。※ご本人の同意を経て掲載しています。
「母の介護を始めた時、正直に言えば『なぜ私が』という気持ちでした。でも今は、あの時間があって良かったと思えるようになったんです」
消えない幼少期の記憶
伊藤さんは幼い頃から母親との関係に悩んでいました。
「母は感情の起伏が激しい人で、些細なことで激怒することがありました。物を投げられたり、何日も口をきいてもらえなかったり。子どもの私には、なぜ怒られているのかも分からないことが多くて」
成人してからは、必要最低限の連絡のみで距離を保ってきました。
「お正月や盆の挨拶程度で、できるだけ関わらないようにしていました。夫や子どもたちにも母のことはあまり話さず、『おばあちゃんは体調が悪いから』と説明していました」
伊藤さんにとって母親は、愛情というよりも義務感で付き合う存在でした。
「『親だから』という理由で完全に縁を切ることはできないけれど、心の底では『早く一人になりたい』と思っていました。そんな自分を責める気持ちもありましたが」

突然始まった介護の現実
5年前、母親に認知症の症状が現れ始めました。
「最初は年末に帰省したときに近所の方から『お母さんの様子がおかしい』と話があって、様子を見るためにお正月までの数日、実家にいて、買い物から帰ると母が『誰かが侵入した』と混乱していました」
伊藤さんには兄弟がおらず、父親も他界していたため、母親の面倒を見るのは自分しかいませんでした。
「正直、『なぜ私がこんな目に』と思いました。母にされたことを考えれば、私が介護する義理なんてないと。でも世間体もあるし、放っておくわけにもいかなくて」
母親は要介護2の認定を受け、伊藤さんは週に数回、実家に通うようになりました。
「デイサービスやヘルパーさんも利用しましたが、それでも私が対応しなければならないことがたくさんありました。母の買い物、通院の付き添い、役所での手続き。全部やらされている感覚でした」
憎しみと義務感の間で
介護を始めてから、伊藤さんの心は複雑な感情に支配されていました。
「母が『由美子、ありがとう』と言ってくれることもあるんです。でも私の心には素直に受け取れない気持ちがあって。『今さら何を言っているの』という思いが湧いてくるんです」
認知症の進行とともに、母親の性格も変化していました。
「以前の母なら絶対に言わないような優しい言葉をかけてくれることもあって。でもそれが逆に混乱の元になりました。『この人は本当に私の母なのか』『今まで私が憎んでいたのは何だったのか』って」
伊藤さんは誰にも相談できずに一人で悩んでいました。
「夫に『お母さんを憎んでいる』なんて言えないし、友人にも『親の介護は大変ね』と同情されるだけ。私の本当の気持ちを理解してくれる人はいないと思っていました」

感情が爆発したきっかけ
介護を始めてから2年後、伊藤さんの感情が爆発する出来事がありました。
「その日、母が『由美子は優しい子だった』『大切に育てた』と言い出したんです。認知症で記憶が曖昧になっているとはいえ、あまりにも現実と違う話で、我慢していたものが一気に溢れました」
伊藤さんは母親に向かって、長年溜め込んでいた気持ちをぶつけました。
「『大切に育ててない!』『私がどれだけ辛かったか分かってるの?』って叫んでしまって。母は何が起こったか分からず、ただ泣いているだけでした」
その夜、伊藤さんは自己嫌悪に陥りました。
「認知症の人に怒っても仕方ないのに、感情的になってしまった自分が情けなくて。でも同時に、『私の人生は何だったんだろう』という虚しさもありました」
相談して訪れた変化
感情的に不安定な状態が続く中、伊藤さんはココマモのオンライン相談サービスを利用することにしました。
初回の相談では、伊藤さんは幼少期の体験から現在の介護状況まで、包み隠さず話しました。
「相談員の小松さんに『こんな母親でも介護しなければいけないんでしょうか』と聞いたら、『まず、あなたが今まで頑張ってこられたことを認めてください』と言われて。誰からも言われたことがない言葉でした」
小松さんからは、複雑な親子関係での介護について詳しく教えてもらいました。
「『完璧な親子関係なんて存在しません。あなたができる範囲で関わることが、今のあなたにとって一番大切なことです』と言ってもらえて、心が軽くなりました」
少しずつ変わり始めた関係
相談を続ける中で、伊藤さんの母親への向き合い方が変わり始めました。
「『お母さんを許さなくてもいいんです。ただ、今のお母さんと少しだけ一緒にいられる自分を認めてあげてください』と言われて、肩の力が抜けました」
母親との接し方も変化しました。
「以前は『なぜ私が』という気持ちが先に立っていましたが、『今日だけ、この時間だけ』と思えるようになりました。完全に許したわけではないけれど、憎しみに支配されることは減りました」
現在、伊藤さんはココマモの月額プランを利用し、月1回のペースで相談を続けています。
「介護の状況が変わったり、また感情的になったりした時に相談できる場所があるのは安心です。一人で抱え込んでいた時とは、気持ちの整理の仕方が全然違います」
小さな変化を大切に
現在も母親の介護は続いていますが、伊藤さんの心境には明らかな変化があります。
「母を心から愛せるようになったかといえば、そうではありません。でも『この人も一人の人間だったんだな』と思えるようになりました。認知症になって、少し穏やかになった母を見ていると、複雑ですが愛おしさを感じることもあります」
伊藤さんが大切にしているのは、小さな変化を認めることです。
「『母と5分間、穏やかに過ごせた』『今日は怒らずに済んだ』、そんな小さなことでも自分を褒めるようにしています。完璧を求めていた時より、ずっと楽になりました」

複雑な親子関係で悩む方へ
伊藤さんが同じような境遇の方に伝えたいのは、一人で抱え込まないことの大切さです。
「親子関係って、他人には理解してもらいにくい部分があります。でも専門家なら、どんな複雑な感情も受け止めてくれます。私のように、まずは本音を吐き出すだけでも楽になれます」
「親を愛せない自分を責める必要はありません。できる範囲で関わることが、今のあなたにできる精一杯のことなんです」
まとめ。完璧な関係を求めなくていい
伊藤さんの体験談は、複雑な親子関係での介護の現実と、少しずつでも関係が変化していく可能性を示しています。幼少期のトラウマ、介護への複雑な感情、そして専門家のサポートによる心境の変化。
親子関係に正解はありません。しかし、適切なサポートがあれば、憎しみに支配されることなく、自分なりの関わり方を見つけることができます。
もし今、複雑な親子関係での介護に悩んでいる方がいらっしゃいましたら、伊藤さんのように一人で抱え込まず、まずは専門家に本音を話してみてください。完璧な愛情でなくても、あなたなりの関わり方がきっと見つかるはずです。
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