「親の希望で在宅看取りを選んだけれど、想像以上に大変です」「医療体制が整わず、夜間の不安で眠れません」
約7割の方が自宅での最期を希望する一方、実際に在宅で看取られるのはわずか17%程度。この大きなギャップの背景には、在宅看取りが抱える深刻な問題点があります。
この記事では、在宅での看取りが直面する家族負担・医療体制・社会的孤立という3つの重要な問題点を詳しく分析します。核家族化や地域支援不足がどのように問題を深刻化させているのか、そしてこれらの問題に対する具体的な解決策まで、実践的に解説していきます。
在宅での看取りにおける家族負担の問題点
在宅看取りの最大の問題点は、家族に課される過重な負担です。医療スタッフが常駐しない環境では、家族が主介護者として中心的な役割を担わざるを得ません。
24時間体制の介護による身体的疲労

看取り期に入ると、排泄介助・清拭・体位変換・食事介助といった身体介護を24時間体制で提供する必要が生じます。夜中に何度も起きて様子を確認し、2時間おきの体位変換を行う日々が続きます。
このような状況が数週間から数ヶ月続くことで、家族は慢性的な睡眠不足に陥ります。自分の食事や入浴の時間すら確保できず、日常生活と介護の両立が極めて困難になるのです。
特に深刻なのは、主介護者に負担が集中してしまう問題です。家族で分担するといっても、実際には一人が大半の介護を担うケースが多く、その結果として介護疲れによるうつ症状や体調不良が生じやすくなります。
死別不安と罪悪感による精神的プレッシャー

身体的負担に加えて、家族は大きな精神的プレッシャーにさらされます。「いつその時が来るのか」という死別への不安、「自分のケアは適切なのか」という疑問、「もっと何かできるのではないか」という罪悪感。
特に在宅看取りでは、急な容態変化に自分たちだけで対応しなければならない場面があります。「今、連絡すべきなのか、様子を見るべきなのか」という判断を迫られるたび、家族の不安は増大していきます。
さらに、家族間で意見が対立することも少なくありません。「もっと積極的な治療を受けさせるべきでは」「本当に自宅で最期まで看られるのか」といった葛藤が、家族関係にひびを入れる原因となります。
仕事との両立困難と経済的負担

在宅看取りの期間が長期化すると、仕事との両立が著しく困難になります。頻繁な早退や欠勤が必要となり、介護離職に至るケースも少なくありません。
収入が減少する一方で、訪問診療や訪問看護、医療機器のレンタル費用など、様々な経済的負担が発生します。物品の購入費用や交通費も積み重なり、家計を圧迫していきます。
経済的な不安は精神的なストレスをさらに増大させ、「このままでは家族全員が倒れてしまう」という危機感を生み出します。
在宅看取りにかかる主な費用
訪問診療:月2万円~4万円
訪問看護:月4万円前後(週3回利用)
医療機器レンタル:月5千円~2万円
消耗品・その他:月1万円~3万円
※介護保険・医療保険適用後の自己負担額
在宅看取りにおける医療体制の問題点
家族負担と並んで深刻なのが、医療体制に関する問題点です。病院とは異なり、在宅では医療スタッフが常駐していないため、様々な制約が生じます。
夜間・緊急時の対応遅れ

在宅看取りの大きな問題点は、緊急時の対応に時間がかかることです。病院であればナースコールですぐに看護師が駆けつけますが、在宅では訪問看護師や医師が到着するまでに時間を要します。
特に夜間や休日は、医療スタッフの手配がさらに困難になります。24時間対応を謳っている訪問看護ステーションでも、実際には電話相談のみで、緊急訪問できる体制が整っていない場合があります。
この対応の遅れが、急変時の適切な判断を困難にし、家族の不安を増大させる要因となっているのです。「呼吸の様子がおかしい」「顔色が悪い」といった変化に気づいても、すぐに専門家の判断を仰げない状況は、家族にとって大きな負担となります。
インフォームドコンセント不足と治療目標の曖昧さ

在宅看取りを円滑に進めるには、病状や今後の見通しについて十分な説明と合意が不可欠です。しかし実際には、インフォームドコンセントが不十分なまま在宅看取りが開始されるケースが少なくありません。
「どの程度の医療処置まで行うのか」「延命治療はどこまで希望するのか」といった治療目標が曖昧なままだと、家族は判断に迷い続けることになります。本人の意思が確認できない状態では、代理判断の基準も不明確になりがちです。
また、病状の進行に伴って治療方針を変更する必要が生じた際、その判断のタイミングが遅れることも問題です。結果として無益な延命処置が続けられ、本人の苦痛を長引かせてしまう可能性があります。
地域による医療資源の格差

在宅看取りの体制には大きな地域格差があります。都市部では24時間対応の訪問診療や訪問看護が比較的整備されていますが、地方では在宅医療に対応できる診療所自体が少ない状況です。
医療機関の在宅対応力の弱さが、在宅看取りを断念せざるを得ない理由となっているケースも多くあります。訪問看護ステーションの数や質にも地域差があり、適切なサービスを受けられない家族も存在します。
この医療資源の格差が、「在宅で看取りたい」という希望を実現できない大きな要因となっているのです。
【在宅看取りの選択で迷っていませんか?】
核家族化と社会的孤立という構造的問題点
在宅看取りの問題点は、個々の家族の問題だけではありません。核家族化や地域コミュニティの弱体化といった社会構造の変化が、問題を深刻化させています。
核家族化による介護力の低下

核家族化の進行により、家族の身体的・精神的余力が著しく不足しています。かつては祖父母や親族が介護を分担できましたが、現在は夫婦と子どもだけの世帯が主流となり、介護を担える人数が限られています。
特に単身世帯や高齢夫婦のみの世帯が増加しており、在宅看取りを支える家族介護力そのものが弱まっています。主介護者が一人で全てを抱え込まざるを得ない状況が、在宅療養の断念を招いているのです。
さらに、介護経験のない世代が増えたことも問題です。祖父母から若い親へ育児や介護の知恵が伝えられる機会が減り、「どうケアすればよいのかわからない」という不安が増大しています。
地域コミュニティの弱体化とインフォーマル支援の欠如

地域住民の「地元愛着・互助認識」が弱まったことで、インフォーマル支援(近隣による助け合い)が機能しなくなっています。かつては近所の人が見守りや簡単な手伝いをしてくれましたが、現在は「隣の家の人の顔も知らない」状態が珍しくありません。
このような地域のつながりの希薄化が、在宅看取りを行う家族の孤立を悪化させています。「誰にも相談できない」「助けを求められる人がいない」という状況が、家族の精神的負担をさらに増大させるのです。
都市化による職住分離の進展も、地域コミュニティの弱体化を加速させました。日中は働きに出ている世帯が多く、地域での助け合いが成立しにくい環境になっています。
行政支援の不足と制度整備の遅れ

国民意識として「人生会議(ACP)」の普及が進む一方で、社会環境の整備が追いついていません。在宅看取りを支えるための行政支援が不足しており、多くの家族が制度の狭間で苦しんでいます。
地域包括支援センターの体制も自治体によって大きな差があり、十分な相談支援を受けられない地域も存在します。孤独対策や施設との連携強化など、社会全体で在宅看取りを支える仕組みづくりが遅れているのです。
また、在宅看取りに関する情報提供も不十分です。「どのようなサービスが利用できるのか」「どこに相談すればよいのか」といった基本的な情報すら、家族に届いていない場合が多くあります。
在宅での看取りの問題点を解決する具体的方法
深刻な問題点を抱える在宅看取りですが、適切な対策を講じることで負担を軽減し、実現可能性を高めることができます。
多職種連携による包括的支援体制の構築

家族負担を軽減する最も効果的な方法は、多職種による包括的な支援体制を整えることです。訪問診療医、訪問看護師、ケアマネジャー、薬剤師、理学療法士などが連携し、チームとして在宅看取りを支えます。
定期的なカンファレンスを開催し、本人の状態変化や家族の負担状況を共有することで、タイムリーな対応が可能になります。各専門職が役割を分担し、家族が抱え込まなくて済む環境を作ることが重要です。
特に重要なのは、24時間対応可能な訪問診療・訪問看護体制を確保することです。夜間や休日でも相談でき、必要に応じて緊急訪問してもらえる体制があれば、家族の不安は大きく軽減されます。
ACP(人生会議)による意思決定支援の充実

インフォームドコンセント不足の問題を解決するには、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)を活用した意思決定支援が不可欠です。本人が元気なうちから、人生の最終段階における医療やケアについて話し合い、文書化しておきます。
「どこで最期を迎えたいか」「どのような医療処置を望むか」「延命治療についてどう考えているか」といった事項を明確にしておくことで、いざという時の判断がスムーズになります。
また、ACPは一度決めたら終わりではありません。病状の変化に応じて繰り返し話し合い、その都度意思を確認していくプロセスが重要です。
レスパイトケアと介護保険サービスの最大活用

家族の身体的・精神的負担を軽減するには、レスパイトケア(介護者の休息支援)が欠かせません。ショートステイを定期的に利用したり、訪問介護の回数を増やしたりすることで、家族が休息を取る時間を確保します。
介護保険サービスを最大限活用するため、ケアマネジャーと綿密に相談しましょう。看取り期に近づくと介護度が上がり、利用できるサービスの量も増えます。定期巡回・随時対応型訪問介護看護など、24時間対応のサービスも検討します。
また、家族自身のセルフケアも優先してください。「自分のことは後回し」という考えでは、長期的な介護の継続は困難です。定期的にリフレッシュする時間を確保し、心身の健康を保つことが重要です。
地域で在宅看取りを支える仕組みづくり
個々の家族の努力だけでは限界があります。地域全体で在宅看取りを支える仕組みを構築することが、問題解決の鍵となります。
地域包括支援センターの機能強化

地域包括支援センターは、在宅看取りを支える中核機関として重要な役割を担います。相談窓口としての機能に加え、多職種連携のコーディネートや地域資源の情報提供など、包括的な支援を提供する必要があります。
特に重要なのは、アウトリーチ型の支援です。家族が相談に来るのを待つのではなく、積極的に家庭訪問し、潜在的な問題を早期に発見する取り組みが求められます。
また、在宅看取りに関する情報提供や啓発活動も重要です。地域住民に対して、利用できるサービスや相談窓口を周知し、必要な時に適切な支援につながる環境を整備します。
地域コミュニティの再構築とインフォーマル支援の活性化

核家族化・地域の希薄化という構造的問題に対しては、地域コミュニティの再構築が不可欠です。町内会や自治会、民生委員などが中心となり、見守り活動や助け合いの仕組みを作っていきます。
近隣住民による声かけ、買い物の手伝い、ちょっとした相談相手になるといったインフォーマル支援が、家族の孤立を防ぎます。特に介護者同士が交流できる場を設けることで、情報交換や精神的な支え合いが可能になります。
また、介護経験者が新たに介護を始めた家族をサポートする「ピアサポート」の仕組みも効果的です。同じ経験をした人からのアドバイスは、専門職とは異なる形で家族を支えます。
医療・介護従事者のサポート体制整備

在宅看取りを支えるスタッフ自身も、死生観の揺らぎや情緒的負担を抱えています。医療・介護従事者のセルフケア体制を整備し、離職を防ぐことも重要な課題です。
定期的なカンファレンスやグループスーパービジョンを通じて、スタッフが抱える悩みを共有し、支え合う環境を作ります。また、研修機会を充実させ、在宅看取りに関する知識とスキルを向上させることも必要です。
スタッフが安定して働ける環境があってこそ、質の高い在宅看取り支援が提供できるのです。
専門家への相談で問題点の解決を図る
在宅での看取りには多くの問題点がありますが、一人で抱え込む必要はありません。専門家に相談することで、適切な解決策を見つけることができます。
ケアマネジャーとの綿密な連携

ケアマネジャーは、在宅看取りにおけるキーパーソンです。本人と家族の状況を総合的に把握し、最適なケアプランを作成してくれます。
「家族の負担が限界に近い」「夜間対応が不安」「経済的な心配がある」といった問題を率直に相談しましょう。状況に応じて、利用するサービスの種類や量を柔軟に調整してもらえます。
また、ケアマネジャーは医療チームと介護サービス事業者の橋渡し役も担います。多職種間の連携がスムーズになることで、家族の負担も軽減されます。
オンライン相談サービスの活用

「在宅看取りを続けるべきか、病院に移すべきか迷っている」「訪問看護師には言いにくい本音の相談がしたい」。こうした複雑な悩みには、第三者の専門家への相談が有効です。
オンラインの相談サービスを利用すれば、夜間や休日でも、自宅にいながら専門相談員に匿名で相談できます。日中は介護で忙しい方でも、都合の良い時間に利用できる点が大きなメリットです。
専門相談員は、多職種連携の構築方法、利用できる公的支援制度、家族のセルフケア方法など、在宅看取りの問題解決に必要な情報を総合的に提供します。また、状況に応じて地域の適切な相談窓口も紹介してくれます。
「一人で決めるのは不安」「専門的なアドバイスが欲しい」「長期的な介護計画を相談したい」といった場合は、専門家のサポートを受けることで、より安心できる選択ができるでしょう。
在宅での看取りの問題点を理解して適切な選択を:まとめ
在宅での看取りには、家族の過重負担・医療体制の不備・社会的孤立という3つの重要な問題点があります。これらは個々の家族の問題だけでなく、核家族化や地域コミュニティの弱体化といった社会構造の変化によって深刻化しています。
しかし、適切な対策を講じることで、これらの問題点を軽減することは可能です。多職種連携による包括的支援、ACPを活用した意思決定支援、レスパイトケアの積極的利用。これらを組み合わせることで、持続可能な在宅看取りの実現に近づけます。
さらに重要なのは、地域全体で在宅看取りを支える仕組みを構築することです。地域包括支援センターの機能強化、コミュニティの再構築、医療・介護従事者のサポート体制整備。これらの取り組みが、個々の家族を支える基盤となります。
在宅での看取りは、家族にとって大きな挑戦です。しかし一人で抱え込む必要はありません。ケアマネジャー、訪問看護師、地域包括支援センター、そして専門相談サービス。様々な支援者が存在しています。問題点を正しく理解し、適切な支援を受けながら、後悔のない選択をしていきましょう。
さいごに。介護の悩みが消えないあなたへ
この記事を読んでも、こんな不安は残っていませんか?
実は、多くの介護家族が同じ悩みを抱えています。
そこに足りないのは「今後どのように行動していくべきか」というあなた自身の判断軸です。
このまま何も変えなければ
介護の判断軸がないままでは、
状況が変わるたびに迷い、
そのたびに自分を責め続けることになります。
「もっと早く考えておけばよかった」
そう思う人を、私たちは何人も見てきました。
毎日3分で「介護の判断軸」を育てる無料メルマガを発信しています。

そこでココマモでは、毎日3分で読める「介護の判断軸」となる知識が学べる無料メールマガジンを発信しています。
具体的には、
さらに、登録した方だけが読める
- メルマガ会員限定記事(介護の決断に特化した深堀りコンテンツ)
にもアクセスできます。
介護の決断を、自分でできるようになるために
介護に「正解」はありません。
だからこそ、最後に自分で納得して選べるかどうかが一番大事です。
そのための小さな一歩として、
まずはメルマガで「判断軸」を一緒に育てていきませんか?
下記フォーム入力後、メールボックスに1通目が届きます。
• メールの最後に必ず解除リンクを記載していますので、いつでもワンクリックで停止できます。
• ご入力いただいた情報は プライバシーポリシーに基づき厳重に管理しています。
• ※Yahoo・iCloudメールは届きにくい場合があります。Gmailまたは携帯メールのご利用を推奨しています。






