「特別養護老人ホームと介護老人保健施設、どちらに入所すべき?」「費用やサービス内容にどんな違いがあるの?」
介護施設を探している方にとって、特養(特別養護老人ホーム)と老健(介護老人保健施設)の違いを正しく理解することは、適切な施設選びの第一歩です。どちらも介護保険が適用される公的施設ですが、目的やサービス内容が根本的に異なります。
この記事では、特養と老健の違いを施設の目的・入所条件・サービス内容・費用・入所期間など、あらゆる角度から徹底比較します。どちらの施設が本人と家族に適しているのか、具体的な判断基準も含めて詳しく解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
特養と老健の基本的な違い
特養と老健は、どちらも介護保険を利用できる公的施設ですが、設立目的が大きく異なります。まずは両施設の基本的な特徴を理解しましょう。
特養とは:終の棲家としての生活施設

特別養護老人ホーム(特養)は、常時介護が必要で自宅での生活が困難な高齢者のための生活施設です。介護保険法に基づいて運営され、正式名称は「介護老人福祉施設」と呼ばれます。
厚生労働省の定義によると、「身体上または精神上著しい障害があるために常時の介護を必要とし、かつ、居宅においてこれを受けることが困難な者を入所させ、養護することを目的とする施設」とされています。
特養の主な特徴
・「終の棲家」として終身利用が可能
・生活支援と介護サービスが中心
・看取りまで対応している施設が多い
・入居者の平均要介護度は3.95と高い
・主な設置主体は地方公共団体や社会福祉法人
特養では、食事・入浴・排泄などの日常生活全般の介護サービスや、機能訓練、療養上の世話などが提供されます。生活の場としての特性が強く、長期的に安心して暮らせる環境が整っています。
老健とは:在宅復帰を目指す中間施設

介護老人保健施設(老健)は、病院と在宅の中間に位置する施設です。医療と介護の両方を受けながらリハビリを行い、在宅復帰を目指すことを目的としています。
厚生労働省により「在宅復帰・在宅療養支援のための拠点となる施設」「リハビリテーションを提供する機能維持・改善の役割を担う施設」として位置づけられており、「中間施設」とも呼ばれます。
老健の主な特徴
・在宅復帰を目指す短期的な施設
・リハビリと医療ケアが充実
・医師が常勤で配置されている
・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などのリハビリ専門職が常駐
・原則3〜6ヶ月ごとに退所審査がある
老健では、介護サービスや医療面のサポートを受けながら、利用者の特性に合わせた専門的なリハビリテーションを行うことが最大の特徴です。病院での治療を終えた後、自宅や有料老人ホームなどへの在宅復帰を目指します。
施設の目的による根本的な違い

特養と老健の最も大きな違いは、施設での生活期間と目的です。自宅での生活が難しいと判断した際、将来的な生活の場をどのように考えるかで、入所する施設が異なります。
目的が違うため、入所者の活気にも違いがあります。特養は平均介護度が高く寝たきりの方も多く生活されていますが、老健は在宅での生活が目標なので生活動作そのものもリハビリと考え、自ら動いてリハビリをされる方も多く生活されています。
特養と老健の入所条件と期間の違い
入所条件と期間は、特養と老健を選ぶ上で非常に重要な判断基準です。それぞれの条件を詳しく見ていきましょう。
特養の入所条件:要介護3以上

特養の入所条件は、65歳以上で要介護3〜5の認定を受けた方です。2015年の介護保険制度改革により入所条件が厳格化され、原則として要介護3以上が対象となりました。
ただし、特例として40歳から64歳までの特定疾病にかかった方も受け入れを行っています。また、要介護1・2の方でも、認知症や家族の状況など特別な事情が認められれば入所できるケースもあります。
老健の入所条件:要介護1以上

老健の入所条件は、65歳以上で要介護1〜5の認定を受けた方です。特養よりも要介護度の条件が緩やかで、要介護1から入所が可能です。
老健も特例として、40歳から64歳までの特定16疾病にかかった方は受け入れを行っています。ただし、リハビリや医療ケアが必要な方が対象となるため、リハビリなどが必要なく生活介護のみ必要な方は入所できません。
逆に、重度の医療ケアが必要な方も入所を断られる可能性があります。老健は病院での治療を終えていることが前提のため、入院加療中の方や要支援1・2の方は入所できません。
入所期間の違い:終身か短期か

特養と老健の入所期間の違いは、両施設の最も顕著な差です。
特養の入所期間
・終身利用が可能(無期限)
・看取り介護まで対応している施設が多い
・長期的に安心して生活できる
老健の入所期間
・原則3〜6ヶ月ごとに退所審査
・在宅復帰可能と判断されれば退所
・平均在所日数は在宅強化型で約203日、従来型で約457日
老健は在宅復帰を目指す施設なので、入居後3ヶ月ごとに、自宅で生活を送れる状態になったかどうかが検討されます。介護保険制度において入居期限が法律で規定されているわけではありませんが、入居者個別のゴールが入居時に設定され、そのゴールを達成したと判断されたら退去という形になります。
【特養と老健、どちらを選ぶべきか迷っている…】
特養と老健のサービス内容の違い
特養と老健では、提供されるサービスの内容と重点が大きく異なります。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
特養のサービス:生活支援中心

特養のサービス内容は、日常生活の支援と介護サービスが中心です。法令により提供するサービスに規定があるため、どこの特養に入居しても基本的に同じサービスを受けることができます。
特養でのリハビリは、日常生活の動作を少しでも自分でできるようになるのが目的です。積極的なリハビリというよりは、機能減退防止のための訓練が中心となります。
生活の場としての機能が重視されているため、アクティビティやレクリエーションなど、入居者の生活の質を高めるためのプログラムも充実しています。入居者同士のコミュニケーションを促進し、長期的に安心して生活できる環境づくりが行われています。
老健のサービス:リハビリと医療ケア重視

老健のサービス内容は、医学的管理のもとでのリハビリテーションが中心です。在宅復帰を目指す施設であるため、特養よりも活発な機能訓練やリハビリテーションに取り組めます。
老健では、専門職によるリハビリを行うため、介護職員は身の回りのことをすべてするのではなく、利用者だけでは難しいことをサポートするのが仕事です。在宅復帰を目指す施設なので、寝たきりの利用者の多い施設に比べて体力的な負担は少ない傾向があります。
施設によって配置されているリハビリスタッフに差があるため、リハビリの職種・頻度・土日のリハビリ状況なども確認した上で施設選びをすることが推奨されます。
医療体制の違い

特養と老健では、医療体制に明確な違いがあります。
特養の医療体制
・医師:非常勤(嘱託医が定期訪問)
・看護職員:入居者100人に対して3人以上
・日常的な健康管理が中心
・高度な医療処置には対応していない
老健の医療体制
・医師:常勤(入居者100人に対して1人以上)
・看護職員:入居者100人に対して9人以上
・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士:入居者100人に対して1人以上
・医療的ケアが充実している
老健は医療とリハビリに重点を置いているため、医師や看護師が常駐し、さまざまな医療処置に対応できます。一方で特養は生活支援に重点を置いており、医療体制は老健と比較すると限定的です。
特養と老健の費用の違い
施設選びにおいて、費用面は重要な検討ポイントです。特養と老健では費用体系や金額に違いがあるのでしょうか。
特養の費用:月額5〜13万円程度

特養は公的な施設であるため、民間施設と比べると費用が抑えられている特徴があります。入居一時金が不要で、月額費用のみの負担となります。
一般的な月額費用は5〜13万円程度とされています。この費用には、介護サービス費(介護保険適用、1〜3割負担)、居住費、食費、日常生活費が含まれます。
所得に応じて費用負担が軽減される制度もあります。低所得者の方は、居住費や食費の負担限度額が設定されており、自治体による補助制度を利用することも可能です。
老健の費用:月額8〜20万円程度

老健の費用は、要介護度やサービス内容、施設の所在地などによって異なりますが、一般的な月額費用は8〜20万円程度とされています。
この費用には、居住費、食費、介護サービス費、リハビリ費用などが含まれます。老健の方が特養よりもやや高額になる傾向があるのは、スタッフやリハビリ機器などに費用がかかるためです。
法令で定められた配置すべき人員では、医師は常勤、看護師が多い、理学療法士などが常勤している点が、特養よりも高額に設定されている理由のひとつです。
費用負担を軽減する制度

特養・老健ともに、所得に応じて費用負担が軽減される制度があります。
主な費用軽減制度
・介護保険負担限度額認定:低所得者の居住費・食費を軽減
・高額介護サービス費:月額自己負担額に上限を設定
・社会福祉法人等による利用者負担軽減制度
・自治体独自の補助制度
これらの制度を活用することで、経済的な負担を軽減できます。詳細については、担当のケアマネジャーや市町村の相談窓口に相談することをおすすめします。
特養と老健の待機期間の違い
入所を希望してから実際に入所できるまでの待機期間も、特養と老健では大きく異なります。
特養の待機期間:数ヶ月〜数年

特養は入居待機者が多いことが大きな問題となっています。終身利用が可能で費用も抑えられているため、人気が集中するのです。
待機期間は地域によって大きな差があり、短い場合は1〜2ヶ月、長い場合は数年かかることがあります。都市部では特に待機期間が長くなる傾向にあります。
すぐに入居できず、かつ待機期間中に在宅介護を受けることが難しい場合は、特養のベッドが空くまですぐに入居できる有料老人ホームを検討することもおすすめです。
老健の待機期間:比較的短い

老健は特養と比較して空室があり入居しやすい状況です。原則3〜6ヶ月程度で退所することが前提の施設であるため、入居者の入れ替わりが激しく、特養ほど長期間待つ必要はありません。
ただし、老健も申し込みをしてから入居できるまでにはある程度の時間がかかります。計画性を持って手続きを済ませる必要があります。
早期に入居先を確保する必要がある場合は、老健の方が入居しやすい傾向にあります。また、有料老人ホームは数が多く、待機時間が短いため、状況に応じて検討してみるのもよいでしょう。
特養と老健の選び方:状況別判断基準
特養と老健のどちらを選ぶべきかは、本人の身体状況や家族の状況によって異なります。状況別の判断基準を見ていきましょう。
特養を選ぶべきケース

特養が適している方
・要介護度が3以上で、常時介護が必要
・在宅復帰の見込みがなく、終の棲家を探している
・看取りまで対応してほしい
・長期的に安定した環境で生活したい
・費用を抑えたい(待機期間を許容できる場合)
特養は「生活の場」としての特性が強いため、終身利用を前提に長期的に安心して暮らしたい方に適しています。ただし、待機期間が長い点は考慮する必要があります。
老健を選ぶべきケース

老健が適している方
・病院退院後、在宅復帰を目指したい
・集中的なリハビリを受けたい
・医療的ケアが必要だが、治療は終えている
・特養の入所待ちの期間を過ごしたい
・早期に入所したい
老健は「病院と在宅の中間施設」として、在宅復帰を目指してリハビリに取り組みたい方に適しています。また、特養の空きが出るまでの待機期間を過ごす場所としても利用されています。
複数施設への申し込みも検討

特養は複数の施設に同時に申し込みができます。いつ、どの施設に空きが出るかわからないため、複数の特養に登録しておく方法も有効です。
また、特養の待機中に老健を利用するという選択肢もあります。老健から老健を渡り歩く「老健巡り」で特養入居まで凌ぐケースも現実には存在しますが、環境の変化によるストレスも考慮する必要があります。
特養と老健の違い:まとめと最適な選択のために
特養と老健は、どちらも介護保険が適用される公的施設ですが、目的・サービス内容・入所期間が根本的に異なります。
特養は「終の棲家」として終身利用が可能な生活施設です。要介護3以上の方が対象で、日常生活の介護サービスを中心に、長期的に安心して暮らせる環境が整っています。看取りまで対応している施設が多い一方で、入居待機期間が長いことが課題です。
老健は「病院と在宅の中間施設」として、在宅復帰を目指す短期的な施設です。要介護1以上の方が対象で、専門職による本格的なリハビリと充実した医療ケアが特徴です。原則3〜6ヶ月ごとに退所審査があり、終身利用はできませんが、特養に比べて入所しやすい状況です。
特養と老健の主な違い
【目的】
特養:終の棲家として終身利用 / 老健:在宅復帰を目指す
【入所条件】
特養:要介護3以上 / 老健:要介護1以上
【入所期間】
特養:終身(無期限) / 老健:原則3〜6ヶ月
【サービス】
特養:生活支援中心 / 老健:リハビリと医療ケア中心
【費用】
特養:月5〜13万円 / 老健:月8〜20万円
【待機期間】
特養:数ヶ月〜数年 / 老健:比較的短い
どちらの施設を選ぶべきかは、本人の身体状況・家族の状況・今後の見通しによって異なります。在宅復帰の見込みがあるか、終の棲家として長期滞在を希望するかが、最も重要な判断基準となります。
また、現在は高齢化社会が加速し、介護を必要とする高齢者が増加しています。特養の入居待ちの高齢者が老健を入所待機所として利用し、老健から老健を渡り歩く現状が問題視されるなど、介護施設が不足していることも現実です。
介護が必要になる前から、近隣の介護施設や介護サービスの状況などの情報を収集しておくことが大切です。担当のケアマネジャーや市町村の相談窓口、医療ソーシャルワーカーなどの専門家と相談しながら、本人と家族にとって最適な選択をしていきましょう。

特養と老健のそれぞれの特徴をしっかり理解した上で、本人と家族の状況に合った施設を選ぶことが大切です。複数の選択肢を検討しながら、最適な判断をしていきましょう。
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