「親を老人ホームに入れたいけど、何歳から入居できるの?」「まだ70代だけど、もう老人ホームを探し始めるべき?」このような疑問を抱える方は多いでしょう。
老人ホームの入居年齢は、施設の種類によって条件が異なります。制度上の入居可能年齢と、実際に入居する方の平均年齢には大きな開きがあり、多くの方が想像する年齢より高齢になってから入居しているのが現実です。
この記事では、老人ホームに入居できる年齢条件と実際の平均入居年齢、そして検討を始めるべき最適な時期について詳しく解説します。親御様の将来設計を考えている方、ご自身の老後を見据えている方に、後悔しない選択のための判断基準をお伝えします。
老人ホームは何歳から入居できる?施設別の年齢条件
老人ホームの入居年齢は、施設の種類によって明確に定められています。ここでは、公的施設と民間施設に分けて詳しく見ていきましょう。
公的施設は原則65歳以上が入居対象

公的施設の多くは65歳以上を入居条件としています。これは介護保険制度の第一号被保険者が65歳からとなることに由来しています。
特別養護老人ホーム(特養)は、原則65歳以上で要介護3以上の方が対象です。終身利用が可能で、比較的安価な費用設定のため人気が高く、地域によっては入居まで1年以上待つケースもあります。
介護老人保健施設(老健)は、病院と自宅の中間的な役割を果たす施設で、65歳以上の要介護認定を受けた方が対象となります。リハビリテーションを中心としたケアを提供し、在宅復帰を目指すため、入所期間は原則3〜6ヶ月程度です。
介護医療院は、長期的な医療ケアと介護が必要な65歳以上の方を受け入れています。医師や看護師が24時間常駐し、喀痰吸引や経管栄養などの医療的処置にも対応できる点が特徴です。
民間施設は60歳以上から入居可能な場合が多い

民間施設の多くは60歳以上を入居条件としています。有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)が代表的です。
介護付き有料老人ホームは、自立から要介護度の高い方まで幅広く受け入れており、24時間体制で介護サービスを提供しています。要介護度が上がっても住み続けられるため、終身利用を前提に入居する方が多い施設です。
サービス付き高齢者向け住宅は、バリアフリー対応の賃貸住宅に安否確認と生活相談サービスが付いた形態です。比較的自立度の高い方向けで、介護が必要になった場合は外部サービスを利用します。
グループホームは認知症の方を対象とした施設で、65歳以上かつ要支援2以上の認定を受けた方が入居できます。5〜9人の少人数で共同生活を送り、家庭的な雰囲気の中で認知症ケアを受けられる点が特徴です。
40〜64歳でも入居できる例外ケース

原則として60歳または65歳以上が入居条件ですが、特定疾病により要介護認定を受けた40〜64歳の方は、介護保険の第二号被保険者として老人ホームへの入居が可能です。
厚生労働省が定める特定疾病には、がん(末期)、関節リウマチ、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、後縦靱帯骨化症、骨折を伴う骨粗鬆症、初老期における認知症、進行性核上性麻痺など16種類があります。
これらの疾病により要介護状態となった場合、年齢に関係なく介護保険サービスを利用でき、施設入居の対象となります。若年性認知症や若年性パーキンソン病など、比較的若い年齢で発症する疾患も含まれています。
老人ホーム入居者の平均年齢は何歳?実態データから見る
制度上は60〜65歳から入居可能な老人ホームですが、実際に入居している方の年齢はもっと高いのが現実です。入居者の年齢分布から、老人ホーム入居の実態を見ていきましょう。
実際の入居者は80代が最も多い

全国有料老人ホーム協会の調査によると、有料老人ホームの入居者は80代後半以上が過半数を占めています。85〜89歳が約29%、90歳以上が約44%と、80歳以上だけで全体の約87%に達しているのです。
サービス付き高齢者向け住宅でも同様の傾向が見られ、入居者の約75%が80歳以上というデータがあります。「老人ホームに入るのは70代くらいから」というイメージとは異なり、実際には80代に入ってから入居する方が圧倒的に多いのです。
この背景には、健康寿命の延びがあります。医療の進歩や健康意識の向上により、70代でも元気に暮らせる方が増えており、介護が必要になる時期が後ろ倒しになっています。その結果、老人ホームへの入居年齢も高齢化している傾向にあります。
男女で異なる入居年齢の傾向

入居年齢には男女差も見られます。女性は85〜89歳の割合が最も大きいのに対し、男性は75〜79歳の割合が大きいという調査結果があります。
男性の方が比較的若い年齢で入居する理由としては、配偶者(妻)が先に要介護状態になり、夫が介護者として疲弊して老々介護の限界を迎えるケースや、独居男性が生活面での困難を感じやすいことなどが考えられます。
一方、女性は平均寿命が長く、夫を看取った後も一人で生活を続ける期間が長いため、より高齢になってから入居を決断するケースが多いようです。また、女性の方が家事など日常生活動作を自分でこなせる期間が長い傾向にあることも、入居年齢の高さに影響していると考えられます。
入居を決めるきっかけは健康状態の変化

入居者の多くは、何らかの健康状態の変化をきっかけに老人ホームへの入居を決めています。
最も多いのは、大きな病気やケガで入院し、退院後の自宅生活が困難になったケースです。脳梗塞や骨折などで身体機能が低下し、バリアフリーでない自宅では生活が難しくなります。医師やケアマネジャーから施設入居を勧められることも少なくありません。
認知症の進行も大きなきっかけです。物忘れが激しくなり、火の消し忘れや徘徊などの危険行動が見られるようになると、一人暮らしや家族だけでの見守りでは限界を感じます。認知症の症状がある入居者は8割以上というデータもあり、認知症ケアの必要性が入居の大きな要因となっています。
また、在宅介護をしていた家族が限界を感じて入居を決断するケースも増えています。老々介護の負担、仕事と介護の両立困難、介護者自身の健康問題などが重なり、施設入居を選択せざるを得ない状況に追い込まれるのです。
老人ホームの検討は何歳から始めるべきか
実際の入居年齢は80代が多いとしても、検討を始める時期はもっと早い方が望ましいのです。ここでは、老人ホーム探しを始める最適なタイミングについて解説します。
情報収集は60代後半から70代前半がベスト

老人ホームの検討は、60代後半から70代前半で始めることをおすすめします。まだ体力も判断力もあるこの時期に、複数の施設を見学し、じっくり比較検討することが理想的です。
施設探しには想像以上に時間と労力がかかります。資料請求から見学、体験入居まで含めると、最低でも3ヶ月程度は見ておく必要があります。複数の施設を比較する場合は、さらに時間がかかるでしょう。
70代後半や80代になってから慌てて探し始めると、体力的にも厳しく、十分な比較検討ができないまま入居を決めてしまうリスクがあります。「思っていた施設と違った」「もっと他の選択肢があったはずだ」と後悔しても、高齢になってからの住み替えは心身への負担が大きくなります。
元気なうちに施設を見学しておけば、自分の目で施設の雰囲気を確かめ、スタッフの対応や入居者の表情を観察できます。実際に食事を試食したり、レクリエーションに参加したりすることで、具体的な生活イメージを持つことができるでしょう。
早期検討のメリットと注意点

早めに検討を始めることには、いくつかのメリットがあります。
まず、選択肢が広がる点です。人気施設は常に満室に近い状態で、空きが出ても すぐに埋まってしまいます。早めに候補を絞り込んでおけば、希望する施設に空きが出たタイミングで入居できる可能性が高まります。
次に、資金計画を立てやすいことも大きなメリットです。老人ホームの費用は決して安くありません。入居一時金と月額費用を考慮し、年金や貯蓄でどこまで賄えるか、不足分をどう補うかを計画的に準備できます。
ただし、注意点もあります。あまりに早く入居してしまうと、入居期間が長くなり資金が先に尽きるリスクがあります。60代で入居して30年以上施設で暮らす可能性を考えると、相当な費用が必要です。
また、元気なうちに入居した場合、「まだ自宅で暮らせたのに」という後悔や、施設での生活に馴染めず孤独を感じるケースもあります。入居のタイミングは、検討開始時期と入居実行時期を分けて考えることが重要です。
家族で話し合う最適なタイミング

親の老人ホーム入居について、家族で話し合うタイミングは非常にデリケートです。いきなり「そろそろ老人ホームを考えたら?」と切り出すと、親は傷つき、関係がギクシャクする可能性があります。
おすすめは、親が定年を迎える60代前半に、老後の暮らし方全般について話し合う機会を持つことです。「これからどんな風に暮らしたい?」「何か不安なことはある?」といった形で、親の希望や不安を聞き出しましょう。
その際、老人ホームだけでなく、在宅介護サービス、バリアフリーリフォーム、地域のコミュニティなど、複数の選択肢を提示することが大切です。親自身に選んでもらうという姿勢を保つことで、押し付けられた感覚を避けられます。
また、老人ホーム見学は「将来の参考に」という軽いスタンスで一緒に行くのも効果的です。実際の施設を見ることで、親のイメージが変わり、「こんなところなら暮らしてもいいかも」と前向きに考えるきっかけになることもあります。
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入居を検討すべき具体的なサインとは
年齢以外にも、老人ホーム入居を検討すべき明確なサインがあります。以下のような状況が見られたら、具体的な施設探しを始める時期だと考えましょう。
一人暮らしで日常生活に不安が出てきたとき

独居高齢者の割合は年々増加しています。65歳以上の一人暮らしの割合は、男性で15%、女性で22%を超えており、今後もさらに増えると予測されています。
一人暮らしで日常生活に不安を感じるサインとしては、買い物に行くのが億劫になった、掃除や洗濯が滞りがちになった、食事を作るのが面倒で栄養が偏ってきた、夜中にトイレに起きるのが不安になったなどが挙げられます。
特に注意すべきは、転倒のリスクです。高齢者の転倒は骨折につながりやすく、骨折をきっかけに寝たきりになるケースも少なくありません。一人暮らしで転倒すると、誰にも気づかれず長時間放置される危険性があります。
また、孤独死や孤立死も深刻な問題です。定期的に様子を確認してくれる人がいない環境では、万が一の事態が起きても発見が遅れる可能性があります。老人ホームに入居すれば、常に誰かの目があり、緊急時にもすぐに対応してもらえる安心感があります。
認知症の症状が見られ始めたとき

認知症の初期症状が出始めたタイミングも、施設入居を検討すべき重要なサインです。
具体的には、約束を忘れることが増えた、同じことを何度も聞くようになった、物の置き場所を忘れて探し物が増えた、料理の手順がわからなくなった、服薬管理ができなくなったなどの症状が見られます。
特に危険なのは、火の消し忘れや水道の出しっぱなしです。ガスコンロをつけたまま外出したり、鍋を火にかけたまま忘れて空焚きしたりすると、火災につながる危険性があります。実際、認知症高齢者の火災事故は年々増加しており、本人だけでなく近隣住民にも被害が及ぶ可能性があります。
また、徘徊も深刻な問題です。外出したまま道に迷い、帰宅できなくなるケースや、季節にそぐわない服装で外出して体調を崩すケースもあります。24時間見守りが必要になってくると、家族だけでの対応は限界を迎えます。
認知症は早期発見、早期対応が重要です。認知症専門のグループホームや、認知症ケアに強い介護付き有料老人ホームなら、専門スタッフによる適切なケアを受けられます。
家族介護が限界を迎えたとき

在宅介護を続けている家族が限界を感じたときも、施設入居を真剣に検討すべきタイミングです。
老々介護の割合は年々増加しており、65歳以上の介護者が65歳以上を介護する割合は63.5%に達しています。高齢者が高齢者を介護する状況では、介護者自身の体力低下や健康問題により、双方が共倒れになるリスクが高まります。
また、共働き世帯の増加により、仕事と介護の両立に悩む方も増えています。フルタイムで働きながら親の介護をするのは、心身ともに大きな負担です。介護のために仕事を辞める「介護離職」は、経済的な困窮につながる可能性があります。
介護者のストレスサインとしては、睡眠不足が続いている、イライラや不安感が強くなった、趣味や友人との交流を楽しめなくなった、介護される側に対して強い口調になってしまう、自分の健康管理ができなくなったなどが挙げられます。
これらのサインが見られたら、すでに限界に近づいている証拠です。無理を続けると、介護うつや虐待につながる危険性もあります。「もう少し頑張れば」と思いがちですが、限界を迎える前に施設入居を検討することが、本人にとっても家族にとっても最善の選択となる場合があります。
老人ホーム選びで失敗しないための準備
老人ホーム選びは人生の大きな決断です。後悔しないために、事前にしっかり準備しておくべきポイントを押さえておきましょう。
資金計画は早めに立てておく

老人ホームの費用は、施設の種類によって大きく異なります。公的施設なら月額5万〜15万円程度ですが、民間施設では月額15万〜40万円かかる場合もあります。
入居一時金も、0円から数千万円まで幅があります。最近は入居一時金0円のプランも増えていますが、その分月額費用が高めに設定されているケースが多いため、トータルでの費用を計算する必要があります。
資金計画を立てる際は、想定入居期間も考慮しましょう。80歳で入居して95歳まで暮らすと仮定すれば15年間、女性の平均寿命を考えると20年以上施設で暮らす可能性もあります。年金収入だけで賄えるか、不足分は貯蓄から補填できるかを計算しておくことが重要です。
また、介護保険サービスには高額介護サービス費制度があり、月額の自己負担額に上限が設定されています。世帯の所得に応じて上限額が変わるため、自分の場合どの程度の負担になるかを確認しておきましょう。
複数の施設を見学して比較する

パンフレットやホームページだけで施設を決めるのは危険です。必ず実際に足を運び、自分の目で確かめることが大切です。
見学時のチェックポイントとしては、スタッフの対応や表情、入居者の様子や笑顔、施設内の清潔感や臭い、食事の質や味付け、リハビリやレクリエーションの充実度などがあります。
特に重要なのは、スタッフと入居者の関係性です。スタッフが入居者に優しく声をかけているか、入居者がリラックスして過ごしているかを観察しましょう。忙しそうに動き回るだけで、入居者とのコミュニケーションが少ない施設は要注意です。
また、可能であれば食事時間帯やレクリエーションの時間に見学することをおすすめします。普段の生活の様子を見ることで、施設の雰囲気をより正確に把握できます。体験入居制度がある施設なら、実際に数日間滞在してみるのも良いでしょう。
入居後の生活をイメージする

老人ホームは「終の棲家」になる可能性があります。長期間暮らすことを前提に、自分がそこで生活している姿を具体的にイメージすることが大切です。
立地も重要な要素です。家族が定期的に面会に来られる場所か、住み慣れた地域から離れすぎていないか、医療機関へのアクセスは良いかなどを確認しましょう。
また、要介護度が上がった場合や認知症が進行した場合にも住み続けられるかも確認が必要です。一部の施設では、要介護度が上がると退去しなければならない場合があります。終身利用を前提に選ぶのであれば、どんな状態になっても受け入れてもらえる施設を選びましょう。
施設のレクリエーションや行事が自分の好みに合っているかも大切です。カラオケが好きな方、手芸が好きな方、園芸が好きな方など、趣味嗜好は人それぞれです。自分が楽しめる活動がある施設を選べば、入居後の生活がより充実したものになります。
老人ホームは何歳から?納得できる判断のために:まとめ
老人ホームは制度上60〜65歳から入居可能ですが、実際の入居者の平均年齢は80代です。入居条件の年齢と現実の入居年齢には大きな開きがあることを理解しておきましょう。
40〜64歳でも、特定疾病により要介護認定を受けた方は入居できる例外があります。若年性認知症やALSなどの疾病があれば、年齢に関わらず施設入居の選択肢があることを知っておくことが大切です。
検討を始める最適な時期は60代後半から70代前半です。まだ体力も判断力もあるうちに情報収集し、複数の施設を見学して比較することで、納得のいく選択ができます。80代になってから慌てて探し始めるのではなく、余裕を持った準備が重要です。
入居を検討すべきサインとしては、一人暮らしでの生活不安、認知症症状の出現、家族介護の限界などがあります。これらのサインが見られたら、具体的な施設探しを始めるタイミングと考えましょう。
老人ホーム選びは、本人と家族の人生の質に直結する重要な決断です。年齢だけにとらわれず、本人の健康状態、家族の状況、経済面など、総合的に判断することが求められます。早めの準備と情報収集が、納得のいく選択につながります。
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