「この介護生活は、いつまで続くのだろう」
介護をしている方なら、一度はこの言葉を心の中でつぶやいたことがあるのではないでしょうか。
朝目覚めた瞬間から始まる介護の日々。自分の時間も、将来の計画も、すべてが後回しになっていく感覚。
そして何より辛いのは、この状況に「終わり」が見えないことです。
厚生労働省の調査によれば、介護期間の平均は約5年1か月とされています。しかし、これはあくまで平均値。実際には10年以上介護が続く方も約2割おり、個人差が非常に大きいのが現実です。
この記事では、親の介護がいつまで続くのかという不安に対して、実際のデータと共に、終わりが見えない時にどう自分を守ればよいのか、具体的な対処法をお伝えします。介護の「終わり」を待つだけでなく、今のあなた自身を大切にする方法を一緒に考えていきましょう。
親の介護はいつまで続くのか―平均期間とデータから見る実態
「いつまで続くのか」という問いに対して、まずは客観的なデータを見ていきましょう。数字を知ることで、漠然とした不安が少し整理されることもあります。
介護期間の平均は約5年だが個人差が大きい

厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると、介護期間の平均は約5年1か月(61.1か月)です。しかし、この数字だけを見て「あと5年で終わる」と考えるのは早計です。
実際の介護期間の分布を見ると、かなりばらつきがあることがわかります。4年以上介護を続けている方が約半数を占めており、中には10年以上という長期にわたるケースも17.6%存在しています。
つまり、「平均5年」という数字は、短期間で終わる方と長期化する方の両方を含んだ結果なのです。あなたの介護がいつ終わるかは、平均値では測れない個別の事情によって大きく左右されます。
要介護度や疾患によって期間は大きく変わる

介護期間を左右する最も大きな要因は、要介護度と疾患の種類です。軽度の要介護状態であれば比較的短期間で状態が改善することもありますが、重度の場合や進行性の疾患では長期化する傾向があります。
特に認知症の場合、介護期間は平均約5年程度とされていますが、症状の進行具合や合併症の有無によって大きく異なります。初期段階で診断された場合、10年以上にわたって介護が続くケースも珍しくありません。
また、脳卒中や骨折などの急性期疾患の場合、リハビリによって回復し介護期間が短くなることもあります。一方、パーキンソン病やALSなどの神経難病では、徐々に介護の負担が増していき、長期化することが一般的です。
10年以上続くケースも約2割―長期化の背景

「10年以上介護が続く」というケースが約2割存在する背景には、いくつかの社会的要因があります。
まず、医療技術の進歩が挙げられます。かつては命を落としていた病気や状態でも、現在は適切な医療によって長く生きられるようになりました。これは喜ばしいことである一方、介護期間の長期化という側面も持っています。
また、日本人の平均寿命が延びたことも大きな要因です。人生100年時代と言われる現在、親世代の寿命も延び、それに伴って介護期間も延びる傾向にあります。
さらに、在宅介護を選択する家族が増えていることも関係しています。施設入所よりも在宅介護を希望する高齢者が多く、家族もその希望に応えようとします。しかし、在宅介護は施設介護に比べて介護者の負担が大きく、長期化しやすい傾向があります。
「いつまで続くのか」という不安の正体と心理
「いつまで続くのか」という問いは、単なる時間の問題ではありません。その背後には、介護者が抱える複雑な感情が隠れています。
終わりが見えない恐怖と罪悪感のはざまで

多くの介護者が口にするのが、「終わりが見えない恐怖」です。明確なゴールがない状態で走り続けることは、想像以上に心を消耗させます。
マラソンであれば、あと何キロと分かっているから頑張れます。仕事であれば、プロジェクトの終了日が見えています。しかし介護には、そうした明確な区切りがありません。
この「終わりのなさ」は、精神的な疲労を加速させます。「明日も、明後日も、来月も、来年も、この生活が続くのか」という不安は、徐々に心を蝕んでいきます。
さらに厄介なのは、この不安を口にすることへの罪悪感です。「いつまで続くのか」と考えることは、親の死を待っているようで、自分を責めてしまう方も少なくありません。
自分の人生が奪われていく感覚への戸惑い

介護が長期化するにつれて、多くの方が感じるのが「自分の人生が奪われていく」という感覚です。
友人との約束をキャンセルする回数が増え、趣味の時間はなくなり、仕事でのキャリアアップも諦めざるを得なくなります。恋愛や結婚の機会を逃したと感じる方もいるでしょう。
特に40代から50代で親の介護に直面した場合、自分自身の人生設計が大きく狂います。子育てが一段落し、ようやく自分の時間が持てると思った矢先に始まる介護。「私の人生はこのままなのか」という絶望感に襲われることもあります。
また、介護に専念するために仕事を辞めた方は、経済的な不安も抱えます。収入が途絶え、貯金が減っていく中で、「この介護がいつまで続くのか」という問いは、より切実なものになります。

「自分の人生を生きたい」と思うことは、決してわがままではありません。介護をしながらでも、あなた自身の人生を大切にする権利があるのです。
介護の終わりを考えることへの後ろめたさ

「いつまで続くのか」と考えることは、多くの介護者にとってタブーのように感じられます。なぜなら、介護の終わりは親の死を意味することが多いからです。
親の死を想像すること、ましてや「早く終わってほしい」と思うことは、親を愛していない証拠なのではないか。そんな罪悪感に苛まれる方は少なくありません。
しかし、これは全く間違った考え方です。介護の終わりを考えることと、親を大切に思う気持ちは、矛盾しません。むしろ、「いつまで続くのか」という不安を抱えながらも介護を続けているあなたは、十分に親を愛しています。
心理学的に見ても、終わりの見えない状況に置かれた人間が「いつまで続くのか」と考えるのは、極めて自然な反応です。これは生存本能の一つであり、自己防衛の表れでもあります。
終わりを待たずに今の自分を守る具体的な方法
「いつまで続くのか」という問いに明確な答えはありません。しかし、終わりを待つだけでなく、今のあなた自身を守る方法は確実に存在します。
介護サービスを積極的に活用して負担を分散する

長期化する介護を乗り切るための最も重要なポイントは、一人で抱え込まないことです。そのために欠かせないのが、介護サービスの積極的な活用です。
デイサービスは、週に数回でも利用することで、あなたの自由時間を確保できます。その時間を使って買い物に行く、友人と会う、ただ一人でゆっくりする。こうした「介護から離れる時間」が、心の余裕を生み出します。
ショートステイは、数日から1週間程度、親を施設に預けられるサービスです。この期間を利用して旅行に行く、実家に帰る、あるいは何もせずに休むことができます。「親を預けるなんて」と罪悪感を持つ必要はありません。これは介護を続けるために必要な休息なのです。
訪問介護やヘルパーサービスを利用すれば、日常的な介護の一部をプロに任せることができます。入浴介助や排泄介助など、身体的負担の大きい介護をプロに依頼することで、あなたの体力的な負担は大きく軽減されます。
活用すべき介護サービス
• デイサービス:日中の数時間を預けられる
• ショートステイ:数日から1週間程度預けられる
• 訪問介護:自宅に来て介護を手伝ってくれる
• 訪問看護:医療的なケアを提供してくれる
• レスパイトケア:介護者の休息を目的としたサービス
施設入所も愛情の一つの形と捉える視点

「親を施設に入れるなんて親不孝だ」——そう考えている方は多いでしょう。しかし、この考え方は必ずしも正しくありません。
在宅介護が長期化し、介護者が心身ともに限界に達した状態で介護を続けることは、親にとっても不幸です。疲れ切った表情で接する家族を見て、親も申し訳なさや罪悪感を感じています。
一方、施設入所によって介護者が心身の余裕を取り戻せば、面会時には笑顔で親と向き合えるようになります。プロの介護スタッフによる適切なケアを受け、親自身も快適に過ごせます。これも立派な愛情の形なのです。
施設入所は「介護の放棄」ではなく、「より良い介護のための選択」です。自分が倒れてしまっては、親の介護を続けることさえできなくなります。
自分の時間を確保することの重要性

長期化する介護を乗り切るためには、自分の時間を確保することが絶対に必要です。これは贅沢ではなく、介護を続けるための必須条件です。
1日のうち、たとえ30分でも1時間でも、完全に自分だけの時間を持つことを意識してください。その時間は介護のことを一切考えず、自分の好きなことをする時間です。
読書をする、音楽を聴く、散歩に出る、友人と電話する、ただぼーっとする。何でも構いません。大切なのは、「介護者」ではなく「一人の人間」としての自分を取り戻す時間を持つことです。
また、週に1回でも介護から完全に離れる日を作ることも重要です。家族や介護サービスに協力してもらい、その日は外出する、趣味に没頭する、あるいは一日中寝て過ごす。そうした「リセットの日」が、あなたの心を守ります。
親の介護で限界を感じた時に頼れる支援と相談先
「いつまで続くのか」という不安を一人で抱え込む必要はありません。様々な支援制度や相談窓口があります。
公的支援制度と地域の相談窓口を活用する

介護に関する悩みや不安は、まず地域包括支援センターに相談することをおすすめします。ここでは介護保険の申請から、介護サービスの紹介、家族介護者への支援まで、総合的な相談に乗ってくれます。
ケアマネジャーがいる場合は、現在の介護の状況や自分の限界について率直に相談してください。ケアプランの見直しや、新たな介護サービスの導入など、具体的な提案をしてくれるはずです。
また、市区町村の福祉課では、介護に関する各種助成制度や支援サービスの情報を得ることができます。経済的な不安がある場合は、高額介護サービス費の払い戻しや、生活福祉資金貸付制度などについても相談できます。
介護者の会や家族会に参加することも有効です。同じように介護をしている人たちと悩みを共有し、情報交換することで、孤独感が和らぎ、新たな解決策が見つかることもあります。
主な相談窓口
• 地域包括支援センター:介護全般の総合相談窓口
• ケアマネジャー:ケアプランの相談・見直し
• 市区町村の福祉課:各種支援制度の情報提供
• 社会福祉協議会:生活全般の相談・支援
• 介護者の会・家族会:同じ立場の人たちとの交流
レスパイトケアで介護者の休息を確保する

レスパイトケアとは、介護者の休息を目的としたサービスの総称です。一時的に介護から離れ、心身をリフレッシュすることで、長期的に介護を続けられるようにするための支援制度です。
具体的には、ショートステイ、デイサービス、訪問介護、レスパイト入院などが含まれます。これらのサービスを計画的に利用することで、介護者は定期的に休息を取ることができます。
特に、長期化する介護においては、レスパイトケアは必須です。「休みたい」と思うことは決してわがままではありません。むしろ、適切に休息を取ることで、より良い介護を続けることができるのです。
レスパイトケアを利用する際のポイントは、定期的に利用することです。限界に達してから慌てて利用するのではなく、月に1回、あるいは2週間に1回など、計画的に利用することで、心身の疲労を蓄積させずに済みます。
専門家への相談で心の整理をつける

「いつまで続くのか」という不安や、「自分の人生が奪われている」という感覚は、一人で抱え込むほど重くなります。こうした複雑な感情を整理するには、専門家への相談が非常に有効です。
公的な相談窓口では話しにくいこと、家族や友人には言えない本音。そうした悩みを安心して相談できる場所が必要です。介護カウンセラーや臨床心理士などの専門家は、あなたの感情を否定せず、共感しながら、前に進むための道筋を一緒に考えてくれます。
また、オンライン相談サービスを利用するのも一つの方法です。自宅にいながら、時間を気にせず相談できるため、介護で忙しい方にも利用しやすいでしょう。
専門家に相談することで、漠然とした不安が整理され、具体的な対処法が見えてきます。また、「自分の感情は正常だ」「自分だけじゃない」と気づくことができ、心が軽くなることも多いのです。
親の介護の終わりと向き合う―いつまで続くかを一人で抱えないために
「親の介護はいつまで続くのか」——この問いに対する明確な答えはありません。介護期間の平均は約5年ですが、個人差が大きく、あなたの介護がいつ終わるかは誰にも分からないのが現実です。
しかし、終わりが見えないからこそ、今のあなた自身を守ることが何より重要です。介護サービスを活用し、自分の時間を確保し、必要であれば施設入所も視野に入れる。そうした選択は、決して親を見捨てることではなく、長期的に介護を続けるための賢明な判断です。
「いつまで続くのか」と思いながらも、今日も介護を続けているあなたは、十分に頑張っています。その事実を認め、自分を責めることをやめてください。
介護には終わりが来ます。それがいつになるかは分かりませんが、必ず終わりは来ます。その時に後悔しないためにも、今のあなた自身を大切にしてください。
介護をしながらでも、あなたには自分の人生を生きる権利があります。親を愛しながらも、自分自身を守ることは可能です。その両立を目指すことこそが、健全な介護のあり方なのです。
「いつまで続くのか」という問いを一人で抱え込まず、周囲の支援を受けながら、一日一日を大切に過ごしていきましょう。あなたは決して一人ではありません。
「情報はわかった。でも…私はどうすればいいの?」

この記事を読んで、少しは気持ちが楽になったかもしれません。
でも、こんな思いが残っていませんか?
- 「この先、私はどうなってしまうんだろう…」
- 「家族に相談しても『お前に任せる』って…」
- 「もう限界なのに、誰もわかってくれない」
知識は増えた。気持ちも少し整理できた。
でも、決断はできない。
実は、87%の介護家族が同じ悩みを抱えています。
地域包括に行っても、ケアマネに相談しても、
「最終的な判断は、ご家族で」
と言われるだけ。
誰も、「あなたの場合はこう決断すべき」とは教えてくれません。
だから、夜中に天井を見つめて一人で悩み続けることになるんです。
もし、「あなた専用の判断基準」があったら?

想像してみてください。
- 施設か在宅か、感情ではなく事実で判断できる
- 家族との話し合いが、感情論ではなく具体案で進む
- 「親を見捨てる」という罪悪感から解放される
- 自分の人生を取り戻しながら、介護も続けられる
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「家族会議が、初めて前に進んだ」
もう一人で抱え込まなくていい。
あなたには、あなたの人生を守る権利があります。







