「若い頃に年金を払っていなかった。このまま老人になったらどうなるの?」「親が年金を払っていなかったみたい。老後の生活はどうすればいい?」「今から払っても間に合うのかしら」
年金保険料を納めてこなかった方や、そのご家族にとって、老後の生活は大きな不安材料ですよね。年金がもらえないと、どんな問題が起きるのか、今から何ができるのか、気になる方は多いでしょう。
実際、年金を払わなかった場合の老後は、想像以上に厳しいものとなります。収入源がなくなり、医療費や介護費用の負担も重くのしかかってくるからです。
この記事では、年金を払わなかったら老人はどうなるのかについて、無年金の具体的なリスクから、今からでもできる対策、さらには家族ができる支援まで、わかりやすく解説していきます。遅すぎることはありません。正しい知識を身につけて、少しでも安心できる老後を迎える方法を見つけましょう。
年金を払わなかったら老人はどうなるのか
年金保険料を納めてこなかった場合、老後の生活にどのような影響が出るのでしょうか。まずは基本的なリスクを理解しておきましょう。
老齢年金が受け取れない無年金のリスク

年金を払わなかった場合の最も深刻な問題は、老齢年金を受け取れないことです。老齢年金を受給するには、最低でも10年間(120ヶ月)の納付期間が必要となります。
この10年という期間は、2017年の制度改正で25年から短縮されました。それ以前は25年間納付していなければ、1円も年金を受け取れませんでした。現在は10年に短縮されたとはいえ、それでも10年に満たない場合は、無年金となってしまうのです。
無年金の状態で老後を迎えるとどうなるでしょうか。65歳で仕事を辞めた後、収入源が完全になくなります。貯蓄があればそれを切り崩して生活することになりますが、平均寿命が延びている現在、貯蓄だけで何十年も生活するのは現実的ではありません。
納付期間が短い場合の年金額の減額

10年以上の納付期間があれば年金を受け取ることはできますが、納付期間が短ければ、受給額は大幅に減少します。
国民年金の満額を受け取るには、20歳から60歳までの40年間(480ヶ月)すべての期間で保険料を納める必要があります。納付期間が短いと、その分だけ受給額が減っていくのです。
具体的な計算式は次の通りです。
年金額 = 満額 × 納付月数 ÷ 480ヶ月
例えば、最低限の10年(120ヶ月)しか納めていない場合、受給額は満額の4分の1、つまり月額約1万7000円程度にしかなりません。この金額で生活することは、ほぼ不可能でしょう。
納付期間別の年金受給額(2024年度)
・40年(満額):月額約6万8000円
・30年:月額約5万1000円
・20年:月額約3万4000円
・10年:月額約1万7000円
20年納付していても、月額3万4000円では、家賃や光熱費を払うだけで精一杯です。医療費や食費を考えると、とても足りないことがわかりますよね。
障害年金や遺族年金も受け取れなくなる

年金を払わないことの影響は、老後だけではありません。障害年金や遺族年金も受け取れなくなるリスクがあるのです。
障害年金は、病気やケガで障害が残った場合に支給される年金です。若い頃から働けなくなったとき、生活を支える重要な制度となります。しかし、年金保険料を納めていないと、この障害年金を受け取ることができません。
遺族年金は、生計を支えていた家族が亡くなった場合に、残された家族に支給される年金です。配偶者や子供を守るための制度ですが、年金を納めていなければ、家族もこの恩恵を受けられなくなります。
これらの年金は、「老後」とは関係なく、若い頃から必要になる可能性があるものです。年金保険料を納めることは、自分自身だけでなく、家族を守ることにもつながるのです。

年金は「老後の備え」というイメージが強いですが、実は「万が一の保険」でもあるんです。若い頃に病気やケガで働けなくなったとき、障害年金が命綱になることもありますよ。
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年金を払わなかった老人が直面する具体的な問題
年金がもらえないことで、老後の生活には様々な困難が待ち受けています。具体的にどのような問題が起きるのか、見ていきましょう。
生活費の確保が困難になる

無年金の老後で最も深刻な問題は、日々の生活費を確保できないことです。年金がなければ、働くか、貯蓄を切り崩すか、誰かに頼るしか方法がありません。
しかし、65歳を過ぎてからの就労は非常に限られます。体力的にも難しくなり、雇ってくれる職場も少なくなります。仮に働けたとしても、若い頃のような収入を得ることは困難でしょう。
貯蓄についても、十分な蓄えがある方は少数派です。総務省の家計調査によると、高齢無職世帯(2人以上)の平均支出は月額約26万円です。これを年金なしで賄うとすると、仮に1000万円の貯蓄があっても、約3年で底をついてしまう計算になります。
平均寿命が男性で約81歳、女性で約87歳という現在、65歳から20年以上生きることは珍しくありません。この長い期間を、収入源なしで乗り切ることは、ほぼ不可能なのです。
医療費と介護費用の負担が重くのしかかる

年齢を重ねると、医療費や介護費用の負担が避けられません。無年金の老後では、これらの費用負担が生活を圧迫します。
高齢者の医療費自己負担は、収入によって1割から3割となります。無年金で収入がない場合、低所得者として1割負担となることが多いですが、それでも通院や薬代の負担は軽くありません。
例えば、高血圧や糖尿病などの慢性疾患で毎月通院する場合、薬代を含めて月額数千円から1万円以上の自己負担が発生します。入院が必要になれば、さらに高額な費用がかかります。
介護が必要になった場合も同様です。介護保険サービスを利用すると、1割から3割の自己負担が発生します。デイサービスや訪問介護を利用すれば、月額数万円の負担となることも珍しくありません。
年金収入があれば、高額療養費制度や高額介護サービス費制度により、自己負担額に上限が設けられます。しかし、無年金で生活が困窮している場合、最終的には生活保護を受けざるを得なくなるケースも多いのです。
家族への負担と関係性の悪化

年金を払わなかった老人が困窮すると、多くの場合、家族がその負担を背負うことになります。子供や配偶者が経済的な支援をせざるを得なくなるのです。
仕送りや生活費の援助、同居して食費や光熱費を負担するなど、家族の経済的負担は小さくありません。月数万円の仕送りでも、年間では数十万円から100万円を超える負担となります。
家族自身も住宅ローンや子供の教育費など、様々な支出を抱えています。親の生活費を支援することで、自分たちの生活が圧迫されることも少なくありません。
経済的な負担だけでなく、精神的なストレスも大きな問題です。「若い頃に年金を払っておけば、こんなことにならなかったのに」という思いから、親子関係が悪化することもあります。介護が必要になれば、さらに負担は増大します。
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年金を払わなかった老人が今からでもできる対策
年金を払ってこなかった方でも、今からできる対策はあります。遅すぎることはありません。少しでも状況を改善するために、以下の方法を検討してみましょう。
追納制度で受給資格期間を確保する

過去に保険料の免除や納付猶予を受けた期間がある方は、追納制度を利用できます。追納とは、免除や猶予を受けた期間の保険料を、後から納付する制度です。
追納できる期間は、追納が承認された月の前10年以内に免除や猶予を受けた期間です。つまり、10年前までさかのぼって保険料を納めることができるのです。
追納することで、将来の年金受給額を増やすことができます。ただし、免除や猶予を受けてから3年以上経過している場合は、当時の保険料に加算額が上乗せされるため、早めの追納がおすすめです。
手続きは年金事務所で行います。基礎年金番号がわかる年金手帳や、本人確認書類を持参しましょう。追納する保険料は、古い期間から順番に納付していく決まりになっています。
任意加入制度で60歳以降も納付を続ける

国民年金の納付期間は、原則として20歳から60歳までの40年間です。しかし、この期間で受給資格期間の10年を満たせなかった場合や、満額に満たない場合は、任意加入制度を利用できます。
任意加入制度では、60歳以降も65歳まで(場合によっては70歳まで)国民年金に加入し、保険料を納付することができます。これにより、受給資格期間を満たしたり、年金受給額を増やしたりすることが可能となります。
特に、納付期間が10年に満たない方にとっては、任意加入制度は非常に重要です。60歳時点で納付期間が8年しかなくても、任意加入で2年間納付すれば、10年の受給資格を満たすことができるからです。
手続きは、住所地の市区町村窓口または年金事務所で行います。年金手帳、本人確認書類、預金通帳、金融機関届出印などが必要となります。

任意加入は、受給資格期間を満たすまでが原則ですが、満額に近づけるために利用することもできます。60代でも働いていて収入がある方は、ぜひ検討してみてくださいね。
生活保護など公的支援制度の活用

どうしても年金受給資格を満たせず、老後の生活が困窮している場合は、生活保護などの公的支援制度を利用することも選択肢となります。
生活保護は、生活に困窮するすべての国民に対して、健康で文化的な最低限度の生活を保障する制度です。年金を受給していない、または年金だけでは生活できない高齢者も、一定の条件を満たせば受給できます。
生活保護を受けると、生活費が支給されるだけでなく、医療費が原則無料となり、介護サービスの自己負担もなくなります。住居費も扶助の対象となるため、家賃の心配もありません。
ただし、生活保護を受けるには、以下の条件を満たす必要があります。
生活保護の主な受給条件
・収入が最低生活費を下回っていること
・預貯金や不動産など、換金できる資産がないこと
・働ける能力がない、または働いても生活できないこと
・親族からの援助が受けられないこと
生活保護の申請は、住所地の福祉事務所で行います。申請をためらう方も多いですが、困ったときに頼れる最後のセーフティネットです。一人で抱え込まず、まずは相談してみることをおすすめします。
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年金を払わなかった老人の家族ができる支援
親が年金を払っておらず、老後の生活が困窮している場合、家族としてどのような支援ができるのでしょうか。無理なく支援するための方法を考えていきましょう。
経済的支援の方法と限界を理解する

親が無年金で生活に困窮している場合、子供として経済的な支援を検討することもあるでしょう。しかし、無理な支援は自分の生活を圧迫してしまいます。
まず、自分の家計を冷静に見つめ直すことが大切です。住宅ローン、子供の教育費、自分自身の老後資金など、様々な支出があることを忘れてはいけません。親を支援するあまり、自分の生活が破綻してしまっては本末転倒です。
経済的支援には、直接的な金銭援助だけでなく、様々な方法があります。
経済的支援の方法
・毎月定額の仕送りをする
・食費や光熱費など、特定の費用を負担する
・同居して生活費を共有する
・医療費や介護費用を必要に応じて援助する
・公的制度の申請をサポートする
重要なのは、自分の家計に無理のない範囲で支援することです。兄弟姉妹がいる場合は、みんなで話し合い、負担を分担することも検討しましょう。一人だけが背負い込むと、精神的にも経済的にも限界が来てしまいます。
公的制度の申請サポートと情報収集

金銭的な支援以上に重要なのが、公的制度の申請をサポートすることです。高齢の親は、どのような制度があるのか、どこに相談すればいいのか、わからないことが多いからです。
まず、年金事務所で相談し、親の納付記録を確認しましょう。思っていたより納付期間が長かったり、免除期間が含まれていたりして、実は受給資格があるケースもあります。
年金受給が難しい場合は、生活保護の申請を検討します。福祉事務所に同行し、必要書類の準備や手続きをサポートすることで、スムーズに申請が進みます。
また、高齢者向けの様々な支援制度についても情報収集しましょう。
情報収集は、地域包括支援センターに相談するのが効率的です。高齢者の生活全般について、専門的なアドバイスを受けることができます。
感情的にならずに現実的な解決策を探る

親が年金を払っていなかったことに対して、怒りや失望を感じることもあるでしょう。「なぜちゃんと払っておかなかったのか」という気持ちは、当然の感情です。
しかし、過去を責めても状況は変わりません。大切なのは、今の状況をどう改善するか、現実的な解決策を見つけることです。
親の立場からすれば、若い頃は年金制度への不信感があったり、目の前の生活で精一杯だったりと、様々な事情があったのかもしれません。結果として年金を払わなかったことは問題ですが、そこを責め続けても、親子関係が悪化するだけです。
感情的にならず、冷静に話し合うことが重要です。現状を正確に把握し、利用できる制度を調べ、無理のない範囲で支援する。この基本姿勢を忘れずに、一歩ずつ前に進んでいきましょう。
オンライン相談サービス「ココマモ」では、こうした家族の悩みについて、相談できます。無理のない支援方法や、利用できる制度について、具体的なアドバイスを受けることができます。一人で悩まず、まずは相談してみませんか。
年金を払わなかった老人の老後と対策:まとめ
年金を払わなかったら、老人の老後は極めて厳しいものとなります。受給資格期間の10年を満たさなければ、年金を1円も受け取れません。納付期間が短くても、受給額は大幅に減少し、最低限の生活すら困難になります。
無年金の老後では、日々の生活費の確保が困難になり、医療費や介護費用の負担も重くのしかかります。家族に経済的・精神的な負担を強いることにもなり、関係性が悪化することも少なくありません。
しかし、今からでもできる対策はあります。追納制度や任意加入制度を利用すれば、受給資格期間を満たしたり、受給額を増やしたりすることが可能です。どうしても困窮している場合は、生活保護などの公的支援制度を活用することも選択肢となります。
家族ができる支援としては、無理のない範囲での経済的援助と、公的制度の申請サポートが重要です。感情的にならず、現実的な解決策を探ることが、親子双方にとって最善の道となるでしょう。
年金を払わなかった老後は確かに厳しいものですが、公的制度や家族の支援を活用することで、少しでも安心できる生活を送ることは可能です。諦めずに、一歩ずつ前に進んでいきましょう。
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