介護認定で非該当になった時の対処法。利用できるサービスと今後の対策を徹底解説

「要介護認定を申請したのに、非該当の結果が来てしまった」「親の生活が心配なのに、介護保険が使えないなんて」「ケアマネージャーのサポートも受けられず、どうしたらいいかわからない」

介護認定で非該当の判定を受けた方やそのご家族から、このような戸惑いや不安の声をよく耳にします。実際に、要介護認定の申請をしても非該当となる方は、申請者の15～25％程度存在しており、決して珍しいことではありません。

非該当という結果に落胆してしまう気持ちもよくわかります。しかし、非該当だからといって、すべてのサポートが受けられないわけではありません。また、将来的に状況が変わった際の再申請の道筋もあります。

大切なのは、現在の状況を正しく理解し、利用できるサービスや支援を把握して、今後に向けた適切な対策を立てることです。

この記事では、介護認定で非該当になる理由から、非該当でも利用できるサービス、そして今後の対策まで、実践的な情報をわかりやすく解説します。一人で抱え込まず、最適なサポートを見つけるためのヒントがきっと見つかるはずです。

介護認定で非該当になる理由と現状

要介護認定の審査基準と非該当になりやすいケース

要介護認定の審査は、市区町村への申請、訪問調査、一次・二次判定という段階を経て行われます。この過程で「要介護1～5」「要支援1～2」「非該当」のいずれかの結果が出されますが、非該当になりやすいケースにはいくつかの特徴があります。

まず、身体機能に大きな問題がない場合です。歩行や基本的な日常生活動作が自立している方は、心配事や軽度の物忘れがあっても非該当と判定されることが多くなります。要介護認定は主に「介護の手間」を基準としているため、一人で身の回りのことができる場合は、認定を受けにくいのが現状です。

また、認知症の初期段階で症状が軽微な場合も非該当になりやすいケースです。物忘れはあるものの、日常会話ができ、基本的な判断力が保たれている段階では、まだ介護が必要とは判断されないことがあります。

さらに、調査当日の体調や環境によって、普段よりも良好な状態を見せてしまい、実際の困りごとが十分に伝わらないケースもあります。訪問調査は限られた時間で行われるため、日頃の苦労や不安が審査に反映されないことがあるのです。

非該当率の実態と制度の隙間で困る人の存在

2025年現在、要介護認定の申請をしても非該当となる方は、申請者全体の15～25％程度と言われています。65歳以上の高齢者は約3,607万人いる中で、要介護・要支援認定者は717万人（認定率19.9％）。つまり、認定を受けていない方が約80％を占めているのが現状です。

この中には、本当に介護が必要ない健康な方も多く含まれていますが、一方で「本当はサポートが必要なのに制度の隙間に落ちてしまった」という方も確実に存在しています。

特に問題となるのは、家族が「何かあったときが心配」と感じているにも関わらず、要介護認定では「現在は自立している」と判断されてしまうケースです。このような方々は、ケアマネージャーのサポートも受けられず、相談先がわからないまま孤立してしまうことがあります。

また、軽度の認知症や体力低下がある場合でも、介護保険の基準に達しないため非該当となり、家族だけで対応せざるを得ない状況に置かれることもあります。これは制度上の課題として認識されており、地域によっては独自の支援策を講じているところもあります。

身体機能は問題なくても生活に不安を感じる場合

非該当の判定を受ける方の中でも特に多いのが、身体機能には大きな問題がないものの、日常生活に不安を抱えているケースです。

例えば、一人暮らしの高齢者で、料理や買い物は何とか自分でできるものの、「万が一のことがあったらどうしよう」という不安を常に感じている場合があります。また、軽度の物忘れがあり、薬の管理や重要な手続きに不安を感じているが、まだ認知症の診断は受けていないという方もいます。

こうした方々は、介護保険の認定基準から見ると「自立」と判断されますが、実際には様々な不安を抱えており、何らかのサポートがあれば安心して生活できる状況にあります。

また、家族の立場から見ると、「今は大丈夫でも、いつ何があるかわからない」「遠方に住んでいるので、何かあったときにすぐに駆けつけられない」といった心配を抱えていることも多くあります。

このような「グレーゾーン」にいる方々にとって、非該当という結果は、将来への不安をさらに大きくしてしまう要因となっています。しかし、非該当だからといって、すべてのサポートが受けられないわけではありません。

介護認定非該当でも利用できるサービスと支援

地域包括支援センターでの相談と総合事業の活用

介護認定で非該当になったとしても、まず覚えておいていただきたいのが地域包括支援センターの存在です。ここは65歳以上のすべての方と、その家族が利用できる相談窓口で、介護認定の結果に関係なく様々な支援を受けることができます。

地域包括支援センターでは、生活上の困りごとや将来への不安について専門職が相談に応じてくれます。保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員などの専門スタッフが在籍しており、それぞれの専門性を活かしたアドバイスを受けることができます。

特に注目したいのが「介護予防・日常生活支援総合事業」です。この事業は、要介護認定で非該当となった方でも、基本チェックリストに該当すれば利用できるサービスです。

具体的には、週1回程度の通所型サービス（デイサービス）、ヘルパーによる生活支援、配食サービスなどが利用できる場合があります。また、体操教室や認知症予防教室、地域のサロン活動への参加なども促進されており、孤立防止や健康維持に役立ちます。

さらに、地域包括支援センターでは、地域の医療機関や民間サービス、ボランティア団体などとのネットワークも持っているため、介護保険外のサービスについても情報提供を受けることができます。

定期的な安否確認や見守りサービス、緊急時の連絡体制なども相談できるため、一人暮らしの方や遠方に住む家族の方にとって心強いサポートとなります。

民間サービスや自費でのサポート選択肢

介護認定非該当の場合、介護保険は利用できませんが、民間のサービスを自費で利用するという選択肢があります。最近では、多様な民間サービスが展開されており、それぞれのニーズに合わせたサポートを受けることができます。

家事代行サービスでは、掃除、洗濯、買い物、調理などの日常的な家事をプロのスタッフが代行してくれます。週1回から月数回まで、頻度も自由に設定できるため、必要な部分だけサポートを受けることが可能です。

見守りサービスも充実しています。定期的な安否確認の電話、センサーによる生活リズムの見守り、緊急時のかけつけサービスなど、様々なタイプから選択できます。離れて暮らす家族にとって、このようなサービスは大きな安心材料となります。

配食サービスも人気の高いサポートの一つです。栄養バランスの取れた食事を定期的に届けてもらえるため、買い物や調理が負担に感じる方には特に有効です。安否確認を兼ねているサービスも多く、一石二鳥の効果が期待できます。

また、通院や買い物の付き添いサービス、軽度な生活支援、話し相手サービスなど、細かなニーズに対応したサービスも増えています。

費用は全額自己負担となりますが、必要な時に必要な分だけ利用できるため、かえって使い勝手が良い場合もあります。サービス内容や料金は事業者によって異なるため、複数の事業者から情報を集めて比較検討することが大切です。

家族や地域のサポートネットワーク構築

介護認定非該当の場合、公的サービスが限られるため、家族や地域でのサポートネットワークを構築することがより重要になってきます。

まず、家族間での役割分担を明確にすることから始めましょう。遠方に住む子どもは定期的な安否確認や通院の付き添い、近くに住む親族は緊急時の対応といったように、それぞれができる範囲でサポートを分担します。

現代では、スマートフォンのアプリやビデオ通話を活用して、離れていても日常的なコミュニケーションを取ることができます。毎日の体調確認や何気ない会話を通じて、変化を早期に察知することも可能です。

地域とのつながりも大切です。町内会や自治会の活動に参加したり、近所の方との日常的な挨拶を心がけたりすることで、何かあったときに助け合える関係を築くことができます。

最近では、地域住民同士が支え合う「互助」の仕組みも各地で広がっています。ちょっとした買い物の手伝い、ゴミ出しのサポート、話し相手になるといった軽微な支援を地域で回し合う取り組みです。

ボランティア団体やNPO法人による支援活動も活発です。高齢者向けの配食活動、外出支援、サロン活動などに参加することで、新しい仲間との出会いもあり、生活に張りが生まれます。

また、かかりつけ医や薬局との関係を大切にすることも重要です。定期的な健康チェックを通じて、体調の変化を早期に発見し、適切な対応を取ることができます。

介護認定非該当からの次のステップと対策

状況変化時の再申請のタイミングと準備

介護認定で非該当になったとしても、それは現時点での判定であり、将来にわたって固定されるものではありません。身体状況や生活環境に変化があった場合は、いつでも再申請することができます。

再申請を検討すべきタイミングとしては、まず明らかな身体機能の低下が見られた場合があります。歩行が不安定になった、階段の昇降が困難になった、転倒が増えたといった変化があれば、再申請を検討する時期かもしれません。

認知症の症状が進行した場合も重要なタイミングです。物忘れが頻繁になった、日付や場所がわからなくなることが増えた、服薬管理ができなくなったといった変化があれば、医師と相談の上で再申請を検討しましょう。

病気やケガによる入院の後も、身体状況が変化している可能性があるため、退院後の生活を見て再申請を検討することが大切です。入院前は自立していても、退院後に体力が低下し、日常生活に支援が必要になるケースは少なくありません。

再申請の準備として大切なのは、日常生活での困りごとを具体的に記録しておくことです。いつ、どのような場面で、どのような困難があるかを詳しく記録しておくと、訪問調査の際に正確に伝えることができます。

また、かかりつけ医の意見書も重要な要素となるため、定期的な受診を続け、生活上の困りごとや身体の変化について医師に相談しておくことが大切です。

家族の介護負担が増大した場合も、再申請のタイミングとして考えられます。最初は軽微なサポートで済んでいても、徐々に介護の手間が増えてきた場合は、改めて要介護認定を受けることを検討しましょう。

区分変更申請や不服申し立ての方法

現在の状況と認定結果に大きな乖離がある場合は、区分変更申請や不服申し立てという方法もあります。

区分変更申請は、認定有効期間中に心身の状態が変化した場合に行える手続きです。非該当から要支援・要介護への変更だけでなく、要介護度の変更も可能です。通常の更新申請を待たずに、必要と感じたタイミングで申請できるため、迅速な対応が期待できます。

区分変更申請を行う場合は、変化の根拠を明確にすることが重要です。医師の診断書、入院・手術の記録、転倒・骨折などの事故の記録、家族の介護日記などが有力な根拠となります。

一方、不服申し立ては、認定結果に納得できない場合に行える制度です。各都道府県に設置されている介護保険審査会に対して、認定結果の見直しを求めることができます。

不服申し立てを行う場合は、認定結果の通知を受けた日から60日以内に手続きを行う必要があります。申し立ての理由を具体的に記述し、それを裏付ける資料を添付することが重要です。

ただし、不服申し立ての審査には時間がかかる場合があり、結果的に認定が変更されない可能性もあります。そのため、不服申し立てと並行して、他のサポート方法も検討しておくことが賢明です。

専門家に相談することで、区分変更申請や不服申し立てが適切な選択肢かどうか、客観的な判断を得ることができます。手続きの方法や必要な書類についても詳しいアドバイスを受けることができるため、まずは相談してみることをお勧めします。

専門家への相談で最適なサポートを見つける方法

介護認定非該当という結果を受けて、今後どのような対策を取るべきか迷っている方は、専門家への相談を積極的に活用することをお勧めします。

地域包括支援センターの専門職は、要介護認定の結果に関わらず、高齢者とその家族の様々な相談に応じています。生活上の困りごと、将来への不安、利用できるサービスの情報など、総合的なアドバイスを受けることができます。

また、介護に関する専門相談窓口では、介護保険制度の詳しい説明から、民間サービスの活用方法、家族のサポート体制の構築まで、幅広い相談に応じています。

専門家への相談では、現在の状況を詳しく伝えることが重要です。身体の状態、生活環境、家族構成、経済状況、将来への希望や不安など、可能な限り具体的に情報を共有しましょう。

専門家は、これらの情報を総合的に判断して、その人に最も適したサポートプランを提案してくれます。介護保険サービス、地域の支援事業、民間サービス、家族・地域でのサポートなど、様々な選択肢の中から最適な組み合わせを見つけることができます。

また、将来的な見通しについてもアドバイスを受けることができます。現在は非該当でも、どのような変化があれば再申請を検討すべきか、どのような準備をしておけば良いかなど、具体的な指針を得ることができます。

相談は無料で受けられることが多く、何度でも利用することができます。一人で抱え込まず、専門家の知識と経験を活用して、安心できる生活を築いていきましょう。

まとめ

介護認定で非該当になったからといって、すべてのサポートが受けられないわけではありません。地域包括支援センターでの相談、総合事業の活用、民間サービスの利用、家族・地域でのサポートネットワーク構築など、様々な選択肢があります。

非該当という結果は、現時点での判定であり、状況が変化すれば再申請も可能です。大切なのは、現在の状況を正しく理解し、利用できるサービスや支援を把握して、将来に向けた適切な対策を立てることです。

また、一人で悩まず、専門家への相談を積極的に活用することをお勧めします。専門家は、あなたの状況に最も適したサポートプランを提案してくれるだけでなく、将来的な見通しについてもアドバイスを提供してくれます。

介護認定非該当という結果に落胆する必要はありません。適切な情報とサポートがあれば、安心して生活を続けることができます。まずは地域包括支援センターや専門相談窓口に相談し、あなたに最適なサポートを見つけてください。