「親の介護を施設に任せるなんて親不孝なのではないか」「自分が面倒を見るべきなのに、施設に預けるなんて逃げているのではないか」「世間からどう思われるだろうか」
親の介護を施設に任せることを検討している方の多くが、このような葛藤を抱えています。厚生労働省の調査によると、介護者の約6割が「施設利用に対して罪悪感を感じたことがある」と回答しており、この悩みは決して珍しいものではありません。
しかし、重要なことは、親の介護を施設に任せることは決して「逃げ」や「親不孝」ではないということです。むしろ、親と家族の両方にとって最適なケアを提供し、持続可能な介護体制を構築するための合理的で前向きな選択なのです。
現代では、介護は家族だけで担うものではなく、社会全体で支え合うものという認識が広がっています。専門的な知識と技術を持った介護施設に任せることで、親により質の高いケアを提供しながら、家族も健全な生活を維持することができるのです。
今回は、親の介護を施設に任せることについて、メリットや注意点、具体的な選び方まで、包括的にお伝えします。罪悪感にとらわれることなく、親と家族にとって最適な選択ができるよう、一緒に考えていきましょう。
親の介護を施設に任せることへの迷いと罪悪感

「施設に任せる=親不孝」という思い込みから解放される
親の介護を施設に任せることを検討する際、多くの方が最初に直面するのが「施設に任せるのは親不孝ではないか」という思い込みです。この思い込みから解放されることが、適切な判断をするための第一歩となります。
日本では長い間「親の面倒は子どもが見るもの」「家族の介護は家族で行うもの」という価値観が根強くありました。しかし、この価値観は現代の社会情勢や家族構成、働き方の変化に必ずしも適合するものではありません。
現代の介護施設は、単に「親を預ける場所」ではありません。専門的な知識と技術を持った介護士、看護師、理学療法士、作業療法士、栄養士、社会福祉士などの多職種チームが連携して、利用者一人ひとりに最適なケアを提供する専門機関なのです。
家族による介護と施設による介護を比較した場合、必ずしも家族による介護の方が優れているとは言えません。むしろ、専門的な技術や知識、適切な設備が整った施設の方が、安全で質の高いケアを提供できる場合が多いのです。
「親不孝」という概念についても見直しが必要です。真の親孝行とは、親の安全と健康を確保し、尊厳を保ちながら生活してもらうことではないでしょうか。そのために最適な環境が施設であるならば、施設を選択することこそが親孝行と言えるでしょう。
また、多くの親自身も「子どもに迷惑をかけたくない」「子どもには自分の人生を大切にしてほしい」と願っています。子どもが介護のために自分の人生を犠牲にすることを、本当に喜ぶ親がどれだけいるでしょうか。
施設利用に対する世間の目も変わってきています。以前は「施設に入れるなんて」という批判的な見方もありましたが、現在では「適切な判断」「賢い選択」として評価されることが増えています。
重要なのは、「なぜ施設を選ぶのか」という理由が明確であることです。単に「楽をしたいから」ではなく、「親により良いケアを提供するため」「家族全体の幸せを考慮した結果」であることを自分自身が理解していれば、罪悪感を感じる必要はありません。
在宅介護の限界を認めることの大切さ
親の介護を施設に任せることを検討する際、まず認識すべきことは「在宅介護には限界がある」ということです。この限界を正直に認めることは、適切な判断をするために不可欠です。
身体的な限界は最も分かりやすい制約です。要介護度が高くなると、移乗介助、入浴介助、排泄介助など、専門的な技術と相当な体力が必要となります。特に認知症が進行した場合の夜間の見守りや、医療的ケアが必要な場合の対応は、家族だけでは安全に行うことが困難な場合があります。
精神的な限界も深刻な問題です。24時間体制での介護は、介護者に大きな精神的ストレスをもたらします。特に認知症の場合、同じことを何度も聞かれたり、理不尽な要求をされたりすることで、介護者の精神的疲労は蓄積していきます。
経済的な限界も無視できません。在宅介護のために仕事を辞めたり時短勤務になったりすることで収入が減少する一方、介護用品の購入費、住宅改修費、介護サービスの自己負担分など、様々な費用がかかります。長期間にわたってこれらの負担を継続することは、多くの家庭にとって困難です。
時間的な制約も大きな問題です。在宅介護では、介護者の自由時間が大幅に制限されます。仕事、家事、育児と介護を同時に行うことは現実的ではなく、何かを犠牲にせざるを得ません。
技術的な限界もあります。医療的ケア、リハビリテーション、栄養管理など、専門的な知識と技術を要する分野では、家族だけでは適切なケアを提供することが困難です。
社会的な孤立も大きな問題です。在宅介護に集中するあまり、介護者が社会とのつながりを失い、孤立してしまうことがあります。これは介護者の精神的健康に深刻な影響を与えます。
これらの限界は、個人の能力や努力の問題ではありません。在宅介護には構造的な制約があり、すべての状況に対応できるわけではないのです。この現実を受け入れることは、決して敗北や諦めではなく、現実的で建設的な判断の基礎となります。
限界を認めることで、より適切な選択肢を検討できるようになります。施設での専門的なケア、家族による精神的サポート、地域サービスの活用など、様々な資源を組み合わせることで、親にとっても家族にとってもより良い介護環境を作ることができるのです。
現代の介護は社会全体で支える時代への転換
親の介護を施設に任せることに対する罪悪感を軽減するためには、現代の介護に対する社会的な考え方の変化を理解することが重要です。介護は家族だけの責任ではなく、社会全体で支え合うものという認識が広がっています。
介護保険制度の導入は、この考え方の転換を象徴しています。2000年に導入されたこの制度は、「介護の社会化」を目的として作られました。つまり、介護を家族の私的な問題ではなく、社会全体で解決すべき課題として位置づけたのです。
少子高齢化の進行により、従来の家族介護モデルは持続可能ではなくなっています。核家族化の進行、女性の社会進出、共働き世帯の増加、未婚率の上昇など、社会構造の変化により、家族だけで介護を担うことが現実的でない状況が増えています。
政府も「地域包括ケアシステム」を推進し、医療、介護、予防、住まい、生活支援が一体的に提供される仕組みづくりを進めています。このシステムでは、家族、地域、専門機関が連携して高齢者を支えることが前提となっています。
企業においても、介護と仕事の両立支援が重要な課題として認識されています。介護休業制度や介護休暇制度の充実、時短勤務制度の導入など、働きながら介護に関わることができる環境整備が進んでいます。
介護施設も大きく進歩しています。以前のような「収容施設」ではなく、利用者の尊厳と自立を重視した「生活の場」として運営されています。個別ケアの充実、医療との連携強化、家族との関係維持など、質の高いサービスが提供されています。
地域コミュニティでも、高齢者を支える取り組みが広がっています。見守りネットワーク、ボランティア活動、地域包括支援センターの活動など、様々な形で地域全体が高齢者を支える仕組みが構築されています。
国際的にも、介護の社会化は一般的な流れです。北欧諸国では早くから介護の社会化が進んでおり、家族が介護をすべて担うという考え方はむしろ少数派となっています。
この社会的な変化の中で、施設利用は「やむを得ない選択」ではなく、「利用可能な社会資源の活用」として位置づけられています。適切な施設を選択し、家族として継続的に関わり続けることで、親により良い生活環境を提供できるのです。
重要なのは、施設に任せることと家族の関わりを放棄することは全く別のことだということです。施設に入居しても、家族としての愛情や関心、精神的サポートは継続できますし、むしろ介護の負担から解放されることで、より良い親子関係を築けることも多いのです。
親の介護を施設に任せるメリットと現実的な判断

専門的な24時間ケアで安全性と質の向上を実現
親の介護を施設に任せる最大のメリットの一つは、専門的な24時間ケアによる安全性と質の向上です。家族による介護では提供が困難な、高度で継続的なケアを受けることができます。
介護施設には、介護福祉士、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、栄養士、社会福祉士など、様々な専門職が配置されています。これらの専門職が連携することで、利用者一人ひとりの状態に応じた包括的なケアが提供されます。
身体介護の面では、安全で効率的な介護技術が提供されます。移乗介助、入浴介助、排泄介助などは、専門的な技術と適切な福祉用具を使用することで、利用者の身体的負担を最小限に抑えながら、安全に行うことができます。家族が見よう見まねで行う介護と比較して、事故やケガのリスクを大幅に減らすことができます。
医療的ケアの提供も大きなメリットです。看護師が常駐している施設では、血圧測定、血糖値チェック、薬の管理、創傷処置、点滴管理など、専門的な医療的ケアを24時間体制で受けることができます。急変時の対応も迅速で、医療機関との連携も密に行われています。
認知症ケアにおいても、施設の専門性は大きな価値があります。認知症の症状に応じた適切な対応、徘徊や暴力行為への安全な対処、認知機能の維持・改善を目的としたプログラムなど、家族だけでは対応が困難な場面でも、専門的な知識と経験に基づいたケアが提供されます。
リハビリテーションの充実も重要なポイントです。理学療法士や作業療法士による個別リハビリ、集団でのリハビリプログラム、日常生活動作の維持・改善を目的とした訓練など、身体機能の維持・向上を図るための専門的なサポートが受けられます。
栄養管理の面でも、栄養士による個別の栄養アセスメント、疾患に応じた食事療法、嚥下機能に配慮した食事形態の調整など、専門的な栄養ケアが提供されます。これにより、健康状態の維持・改善を図ることができます。
24時間体制の見守りは、特に認知症や身体機能の低下がある方にとって大きな安心材料です。夜間の転倒予防、急変時の迅速な対応、定期的な巡回による安全確認など、一人暮らしや家族だけの見守りでは実現が困難なレベルの安全管理が行われています。
感染症対策も専門的に行われています。特に新型コロナウイルス感染症の流行以降、施設では厳格な感染管理が実施されており、専門的な知識に基づいた予防策が講じられています。
家族の負担軽減で健全な親子関係を再構築
親の介護を施設に任せることで得られる大きなメリットの一つが、家族の負担軽減とそれに伴う健全な親子関係の再構築です。介護の負担から解放されることで、家族は本来の家族としての役割に集中することができます。
身体的負担の軽減は最も直接的なメリットです。重い親を抱えての移乗、夜間の排泄介助、入浴介助など、身体に大きな負担をかける作業から解放されることで、介護者自身の健康を守ることができます。腰痛、肩こり、膝痛などの身体的不調に悩まされることなく、自分自身の健康管理に集中できるようになります。
精神的負担の軽減も計り知れないメリットです。24時間体制での見守り、認知症による混乱への対応、医療的ケアへの不安など、常に気を張っていなければならない状況から解放されることで、精神的な余裕を取り戻すことができます。
時間的制約からの解放により、介護者は自分の人生を取り戻すことができます。仕事に集中する、趣味を楽しむ、友人と会う、家族と過ごす、学習や自己啓発に取り組むなど、介護以外の活動に時間を割けるようになります。
経済的負担の軽減も重要なポイントです。介護のために仕事を辞める必要がなくなり、安定した収入を確保できます。また、在宅介護にかかる様々な費用(介護用品、住宅改修、24時間対応のサービス利用など)と比較して、施設利用の方が経済的に効率的な場合も多くあります。
介護の負担から解放されることで、親との関係が改善することが多くあります。日常的な介護によるストレスやイライラがなくなることで、親子間の感情的な対立が減少し、より穏やかで愛情に満ちた関係を築くことができます。
家族は「介護者」から「家族」の役割に戻ることができます。親の話し相手になる、一緒に外出を楽しむ、孫を連れて面会に行く、誕生日やイベントを祝うなど、本来の家族としての交流に集中できるようになります。
兄弟姉妹間の関係改善も期待できます。在宅介護では、介護の負担が特定の家族に集中することで、兄弟姉妹間に不満や対立が生じることがあります。施設利用により、これらの問題が解消され、家族全体の関係が改善されることが多くあります。
配偶者や子どもとの関係も改善されます。介護に追われて家族との時間が取れなかった状況から解放されることで、配偶者や子どもとの関係を修復し、家庭内の調和を取り戻すことができます。
社会復帰の機会も広がります。介護のために社会との接点を失っていた方が、仕事に復帰したり、地域活動に参加したり、新しい人間関係を築いたりすることで、社会の一員としてのアイデンティティを取り戻すことができます。
親自身にとっての社会的刺激と生活の質向上
親の介護を施設に任せることのメリットは、家族だけでなく親自身にとっても多くあります。特に社会的刺激と生活の質の向上は、親の心身の健康維持にとって重要な要素です。
社会的交流の機会が大幅に増加します。在宅での介護では、外部との接触が限られがちですが、施設では同年代の利用者との交流、職員との日常的なコミュニケーション、ボランティアとの触れ合いなど、豊富な人間関係を築くことができます。
集団生活によるメリットも大きいです。一人ひとりが孤立することなく、共同生活の中で役割を持ち、他者との関わりを通じて生きがいや充実感を得ることができます。食事の時間、レクリエーション、季節の行事などを通じて、規則正しく活動的な生活を送ることができます。
レクリエーションプログラムの充実も魅力的です。音楽療法、美術療法、園芸療法、料理教室、体操、ゲーム、外出行事など、多彩なプログラムが用意されており、個人の興味や能力に応じて参加することができます。これらの活動は、認知機能の維持・向上、身体機能の維持、精神的な充実感の向上に効果があります。
規則正しい生活リズムの確立も重要なメリットです。起床・就寝時間、食事時間、入浴時間、活動時間などが規則正しく設定されており、生活リズムの乱れを防ぐことができます。特に認知症の方にとって、規則正しい生活は症状の安定に効果的です。
安全で快適な居住環境も提供されます。バリアフリー設計、適切な温湿度管理、清潔な環境、緊急時対応システムなど、高齢者が安全に生活できる環境が整備されています。転倒や事故のリスクを最小限に抑えながら、できる限り自立した生活を送ることができます。
医療・介護の専門的サポートにより、健康状態の維持・改善が期待できます。定期的な健康チェック、服薬管理、リハビリテーション、栄養管理などが適切に行われることで、健康寿命の延伸を図ることができます。
個別ケアの充実により、一人ひとりのニーズに応じたサービスが提供されます。身体状況、認知機能、嗜好、生活歴などを総合的に評価し、個人に最適化されたケアプランが作成されます。これにより、画一的ではない、その人らしい生活を支援することができます。
家族との関係改善も親にとって大きなメリットです。介護の負担から解放された家族との関係が改善されることで、より良い親子関係、家族関係を築くことができ、精神的な安定と満足感を得ることができます。
施設選びから入居まで失敗しないための具体的ステップ

施設の種類と費用を理解した上での選択方法
親の介護を施設に任せることを決断した後、重要なのは適切な施設を選択することです。施設の種類と費用を正しく理解することで、親と家族のニーズに最も適した選択ができます。
まず、公的施設について理解しましょう。特別養護老人ホーム(特養)は、要介護3以上の方が対象で、月額費用は6万円から15万円程度と比較的安価です。ただし、入居待機者が多く、申し込みから入居まで数年かかることもあります。介護老人保健施設(老健)は、医療ケアとリハビリに重点を置いた施設で、月額費用は8万円から17万円程度です。こちらは在宅復帰を目指す中間施設としての性格が強く、長期入居には向いていません。
介護医療院は、医療的ケアが必要な方を対象とした施設で、月額費用は9万円から20万円程度です。長期療養が必要な方に適しています。
民間施設では、介護付き有料老人ホームが最も一般的です。入居一時金が0円から数千万円、月額費用が15万円から40万円程度と幅が広く、サービス内容や立地によって大きく異なります。住宅型有料老人ホームは、生活支援サービスは提供しますが、介護サービスは外部事業者と別途契約する形態です。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、安否確認と生活相談サービスが提供される住宅で、比較的自立度の高い方に適しています。月額費用は10万円から25万円程度です。
グループホームは、認知症の方を対象とした小規模な施設で、家庭的な環境で生活できるのが特徴です。月額費用は12万円から20万円程度です。
費用の内訳について正しく理解することも重要です:
- 居住費:個室か多床室か、施設の立地や設備によって異なります
- 食費:1日3食分の費用で、施設によって質や内容が異なります
- 介護サービス費:要介護度に応じた1割から3割の自己負担
- 管理費:施設運営にかかる基本的な費用
- その他:理美容代、おむつ代、医療費、嗜好品代など
費用軽減制度も活用しましょう。介護保険負担限度額認定証を取得すれば、住民税非課税世帯では居住費と食費が大幅に軽減されます。高額介護サービス費制度により、月の自己負担額の上限も設定されています。
施設選択時のチェックポイントとして、まず立地と交通アクセスを確認してください。家族が面会に通いやすい場所にあるか、公共交通機関でのアクセスは良いかを検討します。施設の設備と環境では、バリアフリー対応、居室の広さと設備、共用部分の充実度、医療機関との連携体制を確認します。
スタッフの体制と質も重要な要素です。職員の配置基準、専門資格の保有状況、研修体制、離職率などを確認し、安定したケアが提供される体制が整っているかを判断します。
見学・相談から入居決定までの流れと注意点
適切な施設を選択するためには、実際に見学し、詳細な相談を行うことが不可欠です。見学から入居決定までの流れを理解し、注意点を押さえることで、満足度の高い選択ができます。
事前準備として、まず候補となる施設のリストアップを行います。インターネット検索、地域包括支援センターでの相談、ケアマネジャーからの紹介、知人からの情報などを活用して、条件に合う施設を複数選定します。
見学の予約を取る際は、できれば平日の日中に設定することをお勧めします。この時間帯であれば、通常の運営状況を確認でき、職員とも充分に話ができます。見学には親本人も同伴し、実際の雰囲気を感じてもらうことが重要です。
見学時のチェックポイントを整理しておきましょう:
- 施設全体の清潔感と雰囲気
- 利用者の表情や様子、職員との関わり方
- 居室の設備と広さ、プライバシーの確保状況
- 食事の内容と食事時間の雰囲気
- レクリエーションや日課活動の内容
- 医療体制と緊急時の対応方法
- 面会時間と家族の関わり方
質問事項を事前にまとめておくことも大切です。入居条件と手続き、月額費用の詳細と追加費用の可能性、医療対応の範囲と協力医療機関、看取りへの対応方針、外出や外泊の可否、家族との連絡体制などについて、具体的に確認しましょう。
複数の施設を見学した後は、比較検討を行います。費用、立地、サービス内容、スタッフの対応、施設の雰囲気などを総合的に評価し、親と家族にとって最適な施設を選定します。
入居申し込みの際は、必要書類を正確に準備することが重要です。入居申込書、医師の診断書や健康診断書、介護保険証、住民票、印鑑証明書、身元引受書などが一般的に必要となります。施設によって必要書類が異なるため、事前に確認しておきましょう。
面談では、親の身体状況、認知機能、生活歴、嗜好、家族の希望などについて詳しく聞き取りが行われます。この情報を基に、施設側が受け入れ可能かどうかを判断し、適切なケアプランの検討が行われます。
入居契約時は、契約書の内容を充分に確認することが重要です。利用料金とその変更条件、サービス内容と範囲、契約解除の条件、苦情処理の方法、事故発生時の対応などについて、不明な点があれば必ず質問し、納得した上で契約を締結しましょう。
入居後も続く家族の役割と関わり方
親の介護を施設に任せることは、家族の関わりを放棄することではありません。入居後も家族として果たすべき役割があり、適切な関わり方を継続することで、親の生活の質を向上させることができます。
定期的な面会は、親の精神的な安定にとって非常に重要です。面会の頻度や時間は親の状態や家族の事情によって調整できますが、継続的な関わりを保つことが大切です。面会時は、親の様子を観察し、変化があれば職員に相談することも重要な役割です。
施設での生活に慣れるまでのサポートも家族の重要な役割です。新しい環境への適応には時間がかかることがあるため、初期の段階では特に頻繁に面会し、親の不安を和らげるよう努めることが必要です。
親の意思決定への参加も継続すべき役割です。医療に関する判断、ケアプランの変更、外出や外泊の希望、生活用品の購入など、親に関わる様々な決定において、家族の意見や親の意向を適切に反映させることが重要です。
施設との連携も欠かせません。担当職員との定期的な相談、ケア会議への参加、親の状態変化に関する情報共有など、施設と家族が連携することで、より良いケアを提供することができます。
外出や外泊の支援も家族ならではの役割です。可能な範囲で親を外出に連れ出したり、自宅での外泊を企画したりすることで、親に楽しみや変化を提供できます。ただし、親の身体状況や施設の方針を確認し、安全に配慮して実施することが重要です。
季節の行事や記念日の祝いも大切な関わり方です。誕生日、結婚記念日、お正月、お盆などの特別な日には、家族が集まって親と過ごす時間を作ることで、家族としての絆を維持できます。
親の個人的な要望への対応も家族の役割です。好きな食べ物の差し入れ(施設の許可を得て)、必要な衣類や日用品の購入、理美容の手配など、親の個別のニーズに応えることができます。
施設の行事への参加も積極的に検討しましょう。家族参加の行事や食事会、運動会、文化祭などに参加することで、親の施設での生活を理解し、他の利用者や職員との関係も深めることができます。
親の権利擁護も重要な役割です。施設でのケアに問題がある場合や、親の意向が適切に反映されていない場合は、家族が代弁者として行動することが必要です。
最後に、親との時間を大切にすることです。施設に入居したからといって親子関係が終わるわけではありません。限られた時間を有効に活用し、親との思い出を大切にしながら、残された時間を充実したものにしていくことが、家族としての最も重要な役割なのです。
まとめ

親の介護を施設に任せるという決断は、決して簡単なものではありません。しかし、罪悪感にとらわれることなく、親と家族の両方にとって最適な選択肢を冷静に検討することが重要です。
現代の介護は、家族だけが担うものではなく、社会全体で支え合うものという認識が広がっています。専門的な知識と技術を持った介護施設に任せることで、親により質の高いケアを提供しながら、家族も健全な生活を維持することができます。
施設選択においては、種類や費用を正しく理解し、実際に見学して比較検討することが重要です。入居後も家族としての役割は継続し、適切な関わり方を通じて親の生活の質を向上させることができます。
最も大切なことは、親の安全と尊厳を守り、家族全体の幸せを考慮した上で決断することです。施設に任せることは「逃げ」でも「親不孝」でもなく、愛情に基づいた前向きな選択なのです。
一人で悩まず、ケアマネジャーや地域包括支援センターなどの専門家に相談しながら、親と家族にとって最適な介護の形を見つけていきましょう。適切な支援を受けることで、親も家族も安心して生活できる環境を築くことができるはずです。
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