「介護が必要になったらどのくらいお金がかかるの?」「自己負担額の平均はいくら?」「家計への影響が心配」
家族の介護を考える際、最も気になるのが費用の問題です。介護保険制度があるとはいえ、実際の自己負担額がどの程度になるかは、将来への備えを考える上で非常に重要な情報となります。
この記事では、介護費用の自己負担平均額について、要介護度別や在宅・施設介護の違いを含めて詳しく解説します。隠れがちな費用や負担軽減制度、総額を抑える方法まで、介護費用の全体像を理解できる実践的な情報をお伝えします。
介護費用の自己負担平均額と要介護度別の現実
介護費用の自己負担額は、要介護度や利用するサービスの種類により大きく異なります。まずは現実的な数字を把握していきましょう。
要介護度別の月額自己負担平均額詳細

2025年時点の調査によると、介護費用の自己負担平均額は要介護度によって大きな差があります。最新データに基づく月額平均は以下の通りです。
要支援1では月額約5.8万円、要介護1で約5.4万円と、軽度の要介護状態では比較的負担が軽くなっています。しかし、要介護2になると約7.5万円、要介護3で約8.5万円と段階的に増加し、要介護4では約12.4万円まで跳ね上がります。
注目すべきは、要介護5で約11.3万円と要介護4より少し下がることです。これは、要介護5の方の多くが特別養護老人ホームなどの比較的費用の安い公的施設を利用していることが影響しています。
これらの金額には、介護保険サービス利用料だけでなく、食費、消耗品費、医療費、交通費などの関連費用も含まれています。純粋な介護保険サービスの自己負担額は、この約30〜50%程度と考えてください。
要介護度別月額自己負担平均(2025年)
✓ 要支援1:約58,000円
✓ 要介護1:約54,000円
✓ 要介護2:約75,000円
✓ 要介護3:約85,000円
✓ 要介護4:約124,000円
✓ 要介護5:約113,000円
在宅介護と施設介護の自己負担額格差

在宅介護と施設介護では、自己負担額に大きな格差があります。在宅介護の平均月額は約5.2万円に対し、施設介護では約13.8万円と、2.5倍以上の差が生じています。
在宅介護の場合、訪問介護やデイサービスなどのサービス利用料が中心となり、必要に応じてサービス量を調整できるため、費用をコントロールしやすい特徴があります。一方で、介護者の負担が大きく、見えない介護コスト(介護者の時間や健康への影響)は計算に含まれていません。
施設介護では、居住費、食費、介護サービス費、管理費などが包括的に必要となるため、月額負担が高くなります。特に有料老人ホームでは、入居一時金として平均約47万円が別途必要になる場合があります。
公的施設(特別養護老人ホーム)では入居一時金は不要で、月額費用も比較的抑えられますが、入居待ちが長期化する傾向があり、希望するタイミングで利用できない可能性があります。
所得による自己負担割合と上限制度の影響

介護保険サービスの自己負担割合は、利用者の所得により1〜3割に分けられており、この違いが実際の負担額に大きく影響します。
65歳以上の場合、年収280万円未満で1割負担、年収280万円以上383万円未満で2割負担、年収383万円以上で3割負担となります。例えば、月20万円のサービスを利用した場合、1割負担なら2万円、3割負担なら6万円と、4万円もの差が生じます。
ただし、高額介護サービス費制度により、月額自己負担には上限が設けられています。一般的な所得の世帯では月額44,400円が上限となり、それを超えた分は払い戻されます。
低所得者への配慮も充実しており、住民税非課税世帯では月額24,600円、生活保護受給者では月額15,000円が上限となります。また、同一世帯に複数の利用者がいる場合は、さらに負担が軽減される仕組みもあります。
注意が必要なのは、この上限制度は介護保険サービスのみが対象で、食費や居住費、保険対象外サービスは別途必要になることです。
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介護費用の自己負担を左右する重要な要因
介護費用の自己負担額は、表面的な数字だけでは判断できない複雑な要因に影響されます。これらを理解することで、より正確な費用予測が可能になります。
支給限度額超過による全額自己負担のリスク

介護保険制度では、要介護度別に月額支給限度額が設定されており、これを超えた分は全額自己負担となります。この制度を知らずに利用すると、予想以上の負担となる可能性があります。
例えば、要介護2の支給限度額は月約19.6万円(単位)ですが、これを20万円分のサービスを利用した場合、超過分4万円は全額自己負担となり、通常の1割負担と合わせて月額約2.4万円の負担となります。
支給限度額を超過しやすいケースとして、複数のサービスを同時利用する場合、福祉用具レンタルを多く利用する場合、短期集中的にサービスを利用する場合があります。特に退院直後や状態急変時は注意が必要です。
この問題を避けるためには、ケアマネジャーとの密接な連携が重要です。月初めに限度額の残額を確認し、必要に応じてサービス内容を調整することで、予期しない高額負担を避けることができます。
介護保険対象外費用と隠れた自己負担

介護費用の自己負担で見落としがちなのが、介護保険対象外の費用です。これらは全額自己負担となり、総額に大きく影響します。
主な対象外費用には、紙おむつなどの消耗品(月1〜3万円)、医療費や薬代、通院や介護のための交通費、理美容費、娯楽費、個人的な生活用品などがあります。在宅介護では、これらの費用が月額2〜5万円程度必要になることが多いです。
施設介護では、理美容費、娯楽費、個人的な衣類や日用品、嗜好品、外出時の交通費などが対象外となります。施設によっては、独自のサービス費用が追加される場合もあります。
特に高額になりがちなのが医療費です。介護が必要な方は複数の医療機関を受診することが多く、月額数万円の医療費が発生する場合があります。ただし、高額療養費制度の対象となるため、所得に応じた上限額があります。
住宅改修費用も重要な要素です。介護保険では20万円まで支給されますが、実際の改修費用がそれを大きく超える場合があり、数十万円の追加負担が必要になることがあります。
地域格差と施設種別による費用の違い

介護費用には大きな地域格差があり、同じサービスでも住んでいる地域により負担額が異なります。これは、人件費や物価の地域差が介護保険サービス料金に反映されているためです。
都市部では人件費が高いため、介護サービス料金も高くなる傾向があります。逆に地方では料金は安いものの、サービス事業所が少なく選択肢が限られる場合があります。地域差は最大で約20%程度になることもあります。
施設種別による費用差も重要な要因です。特別養護老人ホームは比較的安価(月額10〜15万円程度)ですが、入居待ちが長期化します。介護老人保健施設は中程度(月額15〜20万円程度)、有料老人ホームは高額(月額20〜50万円以上)となる傾向があります。
同じ有料老人ホームでも、立地や設備により大きな格差があります。都心部の高級施設では月額50万円以上になる場合もあれば、郊外の基本的な施設では月額20万円程度で利用できる場合もあります。
認知症専門施設や医療対応が充実した施設では、追加料金が発生する場合があります。これらの特別なケアが必要な場合は、標準的な費用より高額になることを見込んでおく必要があります。
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介護費用の自己負担を軽減する実践的方法
介護費用の自己負担を適切に管理し、軽減するための具体的な方法をご紹介します。制度を正しく理解し活用することで、大幅な負担軽減が可能です。
高額介護サービス費制度の効果的活用

高額介護サービス費制度は、介護費用の自己負担を大幅に軽減する重要な制度です。月額自己負担が上限を超えた場合、超過分が払い戻されます。
所得区分別の月額上限額は、一般的な所得の世帯で44,400円、現役並み所得者で44,400円、低所得者で24,600円または15,000円となっています。例えば、一般世帯で月額8万円の負担があった場合、35,600円が払い戻されます。
この制度を効果的に活用するためには、まず自分の所得区分を正確に把握することが重要です。また、申請が必要な制度のため、市区町村への申請を忘れずに行ってください。多くの場合、自動的に払い戻されないため注意が必要です。
同一世帯に複数の利用者がいる場合は、世帯合算により更なる軽減が受けられます。夫婦ともに介護が必要な場合などは、個別ではなく世帯全体での上限額が適用されるため、大きなメリットがあります。
高額医療・高額介護合算制度も重要です。年間の医療費と介護費の合計が限度額を超えた場合、超過分が支給されます。特に医療費の高い方には大きな負担軽減効果があります。
預貯金要件と負担軽減制度の条件

介護保険施設やショートステイ利用時の食費・居住費については、所得と預貯金額に応じた負担軽減制度があります。この制度を理解し適切に活用することで、月額数万円の節約が可能です。
負担軽減の条件は、住民税非課税世帯であることに加え、預貯金額が一定額以下であることです。単身者で1,000万円以下、夫婦で2,000万円以下の預貯金があることが条件となります。
この制度により、食費は1日最大1,445円から390円まで、居住費は個室で1日最大2,006円から490円まで軽減されます。月額では最大約10万円の負担軽減効果があり、年間100万円以上の節約につながる場合があります。
注意点として、預貯金額の申告が必要で、虚偽申告は罰則の対象となります。また、不動産や有価証券は預貯金額に含まれませんが、定期的に資産状況の確認が行われます。
負担軽減制度は申請制のため、該当する可能性がある場合は積極的に申請することをお勧めします。市区町村の介護保険課で詳細を確認し、必要書類を準備して申請してください。
負担軽減制度の主な条件
✓ 住民税非課税世帯
✓ 預貯金:単身1,000万円以下、夫婦2,000万円以下
✓ 食費・居住費の大幅軽減
✓ 申請制(自動適用されない)
✓ 年間最大100万円以上の節約効果
総額を抑える長期的な費用計画の立て方

介護費用の総額を効果的に抑えるためには、長期的な視点での計画が不可欠です。介護期間は平均約5年ですが、10年以上に及ぶ場合もあるため、持続可能な費用計画を立てることが重要です。
まず、介護の段階的進行を見据えた計画を立てましょう。軽度の要介護状態では在宅介護中心とし、重度になった場合の施設利用を想定した資金計画を策定します。段階的な移行により、総額コストを最適化できます。
予防的な取り組みも重要な費用削減策です。定期的な健康管理、適度な運動、社会参加により、要介護状態の進行を遅らせることができます。月額1万円の健康維持費用により、将来の介護費用を大幅に抑制できる可能性があります。
家族の役割分担と介護サービスの組み合わせも効果的です。家族ができる部分は自分たちで行い、専門性が必要な部分のみサービスを利用することで、費用を抑えながら適切なケアを維持できます。
早期からの情報収集と準備も重要です。地域の介護サービス事業所の料金比較、施設の見学、各種制度の理解により、いざという時に適切な選択ができます。情報不足による高額なサービス利用を避けることができます。

介護費用は想像以上に複雑ですが、制度を理解して計画的に取り組めば、負担を大幅に軽減できます。早めの準備と情報収集が鍵ですね。
在宅介護で家族の負担を軽減するには?持続可能な介護体制の構築法
介護費用自己負担の平均を踏まえた適切な備え:まとめ
介護費用の自己負担平均額は、要介護度や利用形態により大きく異なります。要介護度が上がるにつれて負担額も増加し、要介護4では月額12万円を超える場合もある一方、適切な制度活用により負担を大幅に軽減することが可能です。
在宅介護と施設介護では2.5倍以上の費用差があり、介護の形態選択が経済面に大きく影響します。しかし、単純に安い方を選ぶのではなく、本人の状態と家族の状況に応じた最適な選択をすることが重要です。
見落としがちな介護保険対象外費用や支給限度額超過のリスクを理解し、高額介護サービス費制度や負担軽減制度を積極的に活用することで、総額を大幅に抑制できます。特に預貯金要件を満たす場合の負担軽減効果は、年間100万円以上になる場合があります。
最も重要なのは、介護費用の平均額を参考にしつつも、個別の状況に応じた現実的な計画を立てることです。早期からの情報収集と準備により、いざという時に適切な選択ができる体制を整えておきましょう。
介護費用について不安や疑問がある場合は、地域包括支援センターやケアマネジャー、市区町村の介護保険課に相談することをお勧めします。専門家のアドバイスを受けながら、あなたの状況に最適な費用計画を立てて、安心できる介護体制を構築していきましょう。
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