「遠方に住む親が倒れたけれど、介護休暇は使えるの?」「同居していないと介護休暇は取得できないのでは?」
別居している家族に介護が必要になったとき、多くの方がこのような疑問を抱きます。実は、介護休暇は同居の有無に関わらず取得できる制度です。遠方に住む親や祖父母の通院付き添い、介護施設の見学、ケアマネージャーとの面談など、さまざまな場面で活用できます。
この記事では、同居していない家族のための介護休暇について、取得条件・申請手順・時間単位での活用法・介護休業との使い分けまで、仕事と介護を両立するために知っておくべき情報を詳しく解説します。
介護休暇は同居していなくても取得できる制度
介護休暇は、育児・介護休業法で定められた労働者の権利です。対象家族が同居しているか別居しているかは一切問われません。遠方に住んでいても、週末だけ通っていても、介護が必要な家族がいれば取得可能です。
介護休暇の基本概要

介護休暇とは、要介護状態にある家族の介護や世話をするために、年次有給休暇とは別に取得できる休暇制度です。対象家族が1人の場合は年間5日、2人以上の場合は年間10日まで取得できます。
この制度の大きな特徴は、突発的で短期的な介護ニーズに対応できる柔軟性にあります。通院の付き添い、介護サービスの手続き、ケアマネージャーとの面談、施設見学など、数時間から1日程度の用事に最適です。
2021年1月の法改正により、1時間単位での取得が可能になりました。これにより、「病院の付き添いで3時間だけ休みたい」「役所での手続きに2時間必要」といった細かいニーズにも対応できるようになっています。
同居要件が撤廃された経緯

以前は、祖父母・兄弟姉妹・孫については「同居かつ扶養していること」が条件となっていました。しかし、現代の家族形態の多様化や遠距離介護の増加を受け、この要件は完全に撤廃されています。
背景には、核家族化の進行や就労形態の変化があります。親と別居して都市部で働く人が増え、突然の介護ニーズに対応するため数百キロ離れた実家に帰省する必要が生じるケースが珍しくありません。
現在は、配偶者・父母・子・配偶者の父母・祖父母・兄弟姉妹・孫のすべてにおいて、同居・別居を問わず介護休暇の対象となっています。
別居家族の介護で使える具体例

別居している家族の介護で介護休暇を活用できる場面は多岐にわたります。
例えば、遠方に住む母親の定期通院に付き添うため月に1回3時間の休暇を取る、実家の父親が入院したため病院での説明を聞きに1日休暇を取る、別居中の祖母の介護施設を見学するため半日休暇を取るなどです。
また、要介護認定の申請手続きや更新のための訪問調査への立ち会い、ケアマネージャーとの介護プラン作成の打ち合わせ、介護保険サービス事業者との契約手続きなど、介護サービスに関わる各種手続きにも利用可能です。

「同居していないから無理だろう」と諦めていた方も多いのですが、実は堂々と使える権利なんです。遠慮せずに活用してくださいね。
介護休暇の取得条件と対象者
介護休暇を取得するには、いくつかの条件を満たす必要があります。ここでは、対象となる労働者と対象家族の範囲について詳しく解説します。
取得できる労働者の条件

介護休暇は雇用形態を問わず取得できます。正社員だけでなく、契約社員・派遣社員・パート・アルバイトであっても、要件を満たせば取得可能です。
2025年4月の法改正により、これまで除外できた「勤続6ヶ月未満の労働者」も対象に含まれることになりました。これにより、入社直後であっても介護休暇を取得できるようになっています。
ただし、労使協定が締結されている場合、以下の労働者は対象外となることがあります。1週間の所定労働日数が2日以下の労働者、時間単位での取得が困難と認められる業務に従事する労働者(この場合でも1日単位での取得は可能)です。
対象となる家族の範囲

介護休暇の対象となる家族は、次の通りです。
対象家族の範囲
・配偶者(事実婚・内縁関係を含む)
・父母(養父母を含む)
・子(養子を含む)
・配偶者の父母(養父母を含む)
・祖父母
・兄弟姉妹
・孫
注意すべき点として、叔父・叔母・いとこなどは対象に含まれません。また、子については法律上の親子関係がある場合に限られます。
配偶者については事実婚も含まれるため、婚姻届を出していないパートナーの親の介護にも使えます。一方、同棲しているだけの関係では配偶者と認められない可能性があるため、会社に事前確認が必要です。
要介護状態の判断基準

介護休暇を取得するには、対象家族が「要介護状態」にあることが条件です。要介護状態とは、「負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態」を指します。
重要なのは、介護保険の要介護認定を受けている必要はないという点です。厚生労働省が定める判断基準に該当すれば、要介護認定の有無に関わらず介護休暇を取得できます。
判断基準には、歩行・食事・排泄が一人でできない、認知機能の低下により日常生活に支障がある、頻繁な医療的ケアが必要などの項目があります。ただし、企業が要介護認定の通知書や医師の診断書の提出を義務付けることは認められていません。
介護休暇の申請方法と取得の流れ
介護休暇の申請は非常にシンプルです。ここでは、具体的な申請手順と注意点について解説します。
申請の基本手順

介護休暇の申請は、口頭でも書面でも可能です。企業によって規定の申請書がある場合はそれを使用しますが、書面での提出は必須ではありません。
申請のタイミングについては、原則として取得希望日の1日前までに申し出ることが推奨されていますが、やむを得ない場合は当日の申し出も認められます。急な体調悪化や緊急の通院など、予測できない事態にも対応できる柔軟性があります。
申し出る際には、対象家族の氏名・続柄、介護が必要な理由、取得希望日時(時間単位の場合は開始・終了時刻)を伝えます。直属の上司または人事部に連絡するのが一般的です。
時間単位での取得方法

2021年1月の法改正により、介護休暇は1時間単位で取得できるようになりました。1時間の整数倍であれば、何時間でも取得可能です。
ただし、法令で定められているのは「始業時刻から連続」または「終業時刻まで連続」する時間単位の休暇です。いわゆる「中抜け」(就業時間の途中で抜けて再び戻る)は法的には義務付けられていません。
とはいえ、法を上回る制度として中抜けを認めている企業も増えています。例えば、午前中に2時間だけ休暇を取って通院し、午後から出勤するといった柔軟な使い方ができる場合があります。
時間単位で取得する場合の計算方法ですが、1日の所定労働時間が8時間の場合、年間5日分は40時間に相当します。3時間を13回取得すると39時間で、残り1時間分が翌年度に繰り越されることはありません。
別居家族の介護での申請実例

実際に別居家族の介護で介護休暇を活用したケースを見てみましょう。
Aさん(45歳・女性)は、300キロ離れた実家に住む母親(75歳)が軽度の認知症と診断されました。月に1回、母親の通院に付き添う必要があり、往復の移動時間を含めて1日の介護休暇を取得しています。
Bさん(52歳・男性)は、隣県に住む父親(80歳)の要介護認定申請のため、市役所での手続きと訪問調査の立ち会いに計2日間の介護休暇を使いました。別居していても問題なく申請が通り、スムーズに手続きを完了できました。
Cさん(38歳・女性)は、実家の祖母(88歳)が入院したため、病院での説明や介護施設の見学に時間単位で介護休暇を活用しています。1回あたり3〜4時間の取得で、有給休暇を温存しながら対応できています。
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介護休暇と介護休業の違いと使い分け
介護に関する休暇制度には「介護休暇」と「介護休業」があります。この2つを正しく理解し、状況に応じて使い分けることが重要です。
介護休業との主な違い

介護休暇と介護休業の最も大きな違いは、取得可能な期間と目的です。
介護休暇
・取得日数:年間5日(対象家族2人以上で10日)
・取得単位:1日または時間単位
・申請方法:口頭または当日申請も可
・給付金:なし
・適した用途:突発的・短期的な介護ニーズ
介護休業
・取得日数:通算93日(3回まで分割可)
・取得単位:日数単位のみ
・申請方法:2週間前までに書面で申請
・給付金:あり(賃金の67%)
・適した用途:長期的な介護体制の構築
介護休暇は「ちょっとした用事」に使いやすい制度です。通院の付き添い、役所での手続き、施設見学など、数時間から1日で済む用事に適しています。
一方、介護休業は「介護体制を整えるための準備期間」として使う制度です。遠方の親を自宅に呼び寄せる引っ越し作業、介護サービスの選定と契約、住宅のバリアフリー化工事の立ち会いなど、まとまった時間が必要な場合に適しています。
状況別の使い分け方

介護休暇を使うべきケースは、定期的な通院の付き添い(月1〜2回程度)、ケアマネージャーや施設スタッフとの打ち合わせ、介護保険サービスの利用開始手続き、介護用品の購入や住宅改修の相談などです。
介護休業を使うべきケースは、別居していた親を自宅に引き取るための準備、入院中の親が退院して在宅介護を開始する際の環境整備、介護施設への入所手続きと引っ越し、介護方針を家族で話し合い体制を固める期間などです。
両方を組み合わせて使うことも可能です。例えば、まず介護休業で93日間の準備期間を取り、その後は介護休暇を活用して定期的な通院付き添いに対応するという使い方ができます。
介護休業給付金について

介護休業を取得した場合、雇用保険から介護休業給付金が支給されます。これは賃金の約67%に相当する金額で、経済的な不安を軽減する重要な制度です。
受給条件は、雇用保険に加入していること、介護休業開始前の2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12ヶ月以上あることなどです。申請は事業主を経由してハローワークに行います。
一方、介護休暇には給付金制度がありません。企業の就業規則で有給と定められている場合を除き、基本的には無給となります。このため、経済的な影響を考慮した計画的な利用が求められます。
介護休暇取得時の注意点とトラブル回避策
介護休暇は法律で認められた権利ですが、実際の取得にあたってはいくつか注意すべき点があります。
給与の取り扱い

介護休暇中の給与支払いについては、法律で定められていません。有給か無給かは企業の就業規則によって異なります。
多くの企業では無給としていますが、一部の企業では有給休暇と同様に給与を支払う制度を設けています。また、賞与の算定においても、介護休暇取得期間をどう扱うかは企業によって異なります。
取得前に必ず就業規則を確認し、給与や賞与への影響を把握しておきましょう。無給の場合、月の給与が大幅に減少する可能性があるため、家計への影響も考慮する必要があります。
会社から拒否された場合の対処法

法律上、企業は介護休暇の申し出を原則として拒否できません。しかし、実際には「人手不足だから」「繁忙期だから」といった理由で取得を渋られるケースがあります。
このような場合、まず就業規則や育児・介護休業法の規定を確認し、自分の権利を正確に理解しましょう。その上で、人事部や労務担当者に相談します。
それでも解決しない場合は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談できます。匿名での相談も可能で、必要に応じて企業への指導も行われます。
職場への事前準備と配慮

介護休暇は当然の権利ですが、円滑な職場関係を維持するためには、ある程度の配慮も必要です。
可能であれば、予測できる用事(定期通院など)については早めに予定を伝え、業務の引き継ぎや調整を行います。突発的な休暇が必要になる可能性があることも、上司やチームメンバーに事前に伝えておくと理解を得やすくなります。
また、時間単位での取得を活用することで、業務への影響を最小限に抑えることもできます。例えば、午前中に3時間休暇を取り、午後から出勤するといった柔軟な使い方です。
重要なのは、権利を主張するだけでなく、職場との信頼関係を保ちながら制度を活用することです。
2025年法改正のポイントと今後の展望
育児・介護休業法は時代のニーズに合わせて改正が続いています。2025年4月施行の改正内容を理解しておきましょう。
勤続6ヶ月未満の除外規定撤廃

2025年4月の改正により、勤続6ヶ月未満の労働者も介護休暇を取得できるようになりました。これまでは労使協定で除外できましたが、この規定が撤廃されています。
入社直後であっても、家族に介護が必要になれば介護休暇を取得できます。これにより、転職後すぐに親の介護が必要になった場合でも、制度を活用できるようになりました。
ただし、週の所定労働日数が2日以下の労働者については、引き続き労使協定で除外することが可能です。
企業に求められる対応

法改正に伴い、企業は就業規則の改定が必要です。特に、時間単位取得に関する規定、中抜けの可否、賃金の取り扱いなどを明確にする必要があります。
また、企業には入社時や制度改定時に、介護休暇制度について従業員に周知する義務があります。多くの労働者が制度の存在を知らないまま介護離職してしまうケースを防ぐためです。
勤怠管理システムも、時間単位での休暇管理に対応する必要があります。残り時間数の自動計算や、休憩時間を除いた正確な勤務時間の把握が求められます。
今後期待される制度改善

高齢化が進む中、介護休暇制度のさらなる充実が期待されています。具体的には、取得可能日数の増加、給付金制度の創設、中抜けの法的義務化などが議論されています。
また、介護休暇と介護休業を柔軟に組み合わせて使えるような制度設計や、テレワークとの併用による働き方の多様化なども検討課題となっています。
現時点でも十分に活用できる制度ですが、今後さらに使いやすくなる可能性があります。最新の情報は厚生労働省のウェブサイトで確認できます。
介護休暇を活用して仕事と介護を両立する
介護休暇は、同居していない家族の介護でも堂々と使える権利です。遠方に住む親や祖父母の通院付き添い、介護サービスの手続き、施設見学など、さまざまな場面で活用できます。
重要なポイントをまとめると、対象家族は配偶者・父母・子・配偶者の父母・祖父母・兄弟姉妹・孫で、同居・別居を問わず取得可能です。年間5日(対象家族2人以上で10日)まで、1時間単位または1日単位で取得でき、申請は口頭でも当日申し出でも可能です。
介護休業との使い分けでは、短期的・突発的なニーズには介護休暇、長期的な介護体制構築には介護休業が適しています。両方を組み合わせることで、より効果的に仕事と介護を両立できます。
介護は突然始まり、長期間続く可能性があります。早い段階から利用できる制度を知り、計画的に活用することで、仕事を辞めずに介護と向き合うことができます。
不明な点があれば、まずは会社の人事部に相談しましょう。それでも解決しない場合は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)が相談窓口となります。一人で抱え込まず、使える制度は積極的に活用していきましょう。
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