「親を施設に入れるなんて、私は親不孝者なのだろうか」「親を見捨てるようで申し訳ない」「もう少し自分で頑張るべきではないか」
親を施設に入れる決断をする際、このような葛藤や罪悪感に苦しむ方は少なくありません。在宅介護の限界を感じながらも、施設入所に踏み切れずに悩み続ける日々。親が「家にいたい」と言う言葉を聞くたびに、心が痛む経験をされている方もいるでしょう。
実は、親を施設に入れる時の葛藤は多くの人が経験する自然な感情です。この葛藤と正面から向き合い、親にとっても自分にとっても最善の選択をすることが大切です。この記事では、施設入所を決断する際の様々な葛藤の正体を理解し、罪悪感を乗り越えて前に進むための具体的な方法をお伝えします。
親を施設に入れることは「見捨てる」ことではありません。親も自分も幸せに生きるための、勇気ある選択です。葛藤を抱えるあなたは、真剣に親のことを考えている証拠なのです。
親を施設に入れる時に感じる葛藤の正体
親を施設に入れる決断をする際、様々な感情が複雑に絡み合います。まずは自分が感じている葛藤の正体を理解することから始めましょう。
罪悪感と「親がかわいそう」という気持ち

親を施設に入れる時の葛藤で最も強く感じるのが、罪悪感と「親がかわいそう」という気持ちです。長年育ててくれた親を、慣れ親しんだ自宅から離れた施設に入れることに、深い罪悪感を抱く方は多いでしょう。
「自分が介護から逃げているのではないか」「親を見捨てているのではないか」。こうした思いが頭をよぎり、施設入所の決断を先延ばしにしてしまいます。特に親自身が施設入所を嫌がっている場合、その気持ちはさらに強くなります。
親が「家にいたい」「家族と一緒に暮らしたい」と訴える姿を見ると、心が締め付けられるような思いになるでしょう。親の悲しむ顔を想像するだけで、決断ができなくなってしまう方もいます。
介護負担の限界と自己犠牲の間での葛藤

在宅介護を続ける中で、身体的・精神的な限界を感じながらも「もう少し頑張らなければ」と自分を責める気持ちも、大きな葛藤の原因です。
夜間の見守りで睡眠不足が続き、仕事との両立で疲労が蓄積し、自分の時間が全く取れない状態。心身ともに限界を感じているのに、「親のために自分が我慢すべき」という思いが頭から離れません。
経済的な負担も重くのしかかります。介護のために仕事を辞めたり、時短勤務にしたりすることで収入が減少し、さらに介護用品や医療費の支出が増える。経済的なストレスを感じながらも、「親のためなら仕方ない」と自分に言い聞かせる日々が続きます。
施設に対するマイナスイメージからくる不安

介護施設に対して、「冷たい場所」「家庭のぬくもりがない」といったマイナスイメージを持っている方も多いでしょう。このイメージが、施設入所への抵抗感を強めています。
「施設では十分なケアを受けられないのではないか」「親が寂しい思いをするのではないか」「虐待やネグレクトがあるかもしれない」。メディアで報道される施設での事故や虐待のニュースが、不安を増幅させます。
また、施設に入所することが「人生の終わり」のように感じられ、親の人生を諦めさせるような気持ちになる方もいます。施設入所が親の幸せを奪うものだと考えてしまうのです。
親を施設に入れる葛藤を乗り越えるための考え方
葛藤を乗り越えるには、施設入所に対する考え方を変える必要があります。罪悪感から解放され、前向きな決断をするための視点をお伝えします。
施設入所は親のためでもあるという理解

親を施設に入れることは、親のためでもある選択だと理解することが大切です。施設では専門的なケアを受けられ、親の生活の質を保つことができます。
在宅介護では対応が難しい医療的ケアや、24時間体制での見守り、リハビリテーションなど、施設だからこそ提供できるサービスがあります。専門スタッフによる適切なケアにより、親の健康状態が改善するケースも少なくありません。
また、施設では同年代の入居者との交流があり、孤独感が軽減されることもあります。レクリエーション活動や季節のイベントなど、家庭では提供できない刺激や楽しみもあるでしょう。
家族関係を良好に保つための選択

施設入所により、むしろ家族関係が良好になる場合も多くあります。在宅介護では、家族同士がつい感情的になってしまったり、必要以上に相手に気持ちが入りすぎてしまったりすることがあります。
特に認知症の方の場合、感情をストレートにぶつけられることが少なくありません。暴言を吐かれたり、拒否されたりすることで、介護する側も疲弊し、親子関係が悪化してしまうケースもあるのです。
施設入所により適度な距離が保たれることで、感情的な対立が減り、思いやりを持って接することができるようになります。面会時には介護の負担から解放され、純粋に親との時間を楽しめるでしょう。元気だった頃の良好な親子関係を取り戻すことができるのです。
自分の人生も大切にする勇気

親の介護も大切ですが、自分自身の人生も同じように大切です。自分を犠牲にし続けることが、本当に親のためになるのか考えてみましょう。
親は子供の幸せを願っているはずです。あなたが心身ともに疲弊し、仕事を失い、健康を損ね、自分の人生を諦めてしまうことを、親は本当に望んでいるでしょうか。
施設入所は「逃げ」ではなく、親も自分も幸せに生きるための選択です。自分の人生を大切にすることに罪悪感を感じる必要はありません。むしろ、自分が健康で安定した生活を送ることで、親を支える余裕が生まれます。
自分を大切にするために
・自分の健康を最優先に考える
・仕事やキャリアを諦めない
・自分の時間を持つことを許す
・家族や友人との関係を維持する
・趣味や楽しみを持ち続ける
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親を施設に入れる際の具体的な進め方
葛藤を乗り越えて施設入所を決断したら、具体的な準備を進めていきます。親にとっても自分にとっても納得できる形で進めることが大切です。
親への説得は段階的に

親が施設入所を拒否している場合、段階的に説得を進めることが効果的です。いきなり「施設に入ってほしい」と切り出すのではなく、親の気持ちを尊重しながら少しずつ話を進めましょう。
まずは施設の見学から始めるのも良い方法です。「ちょっと見に行ってみるだけ」という軽い気持ちで誘い、実際の施設の雰囲気を体験してもらいます。思っていたよりも明るく清潔で、スタッフも優しいことがわかれば、抵抗感が和らぐかもしれません。
「一時的な入所」や「お試し入所」といった心理的ハードルの低い提案も効果的です。「ずっと」ではなく「しばらくの間だけ」という言い方をすることで、親の不安を軽減できます。
納得できる施設を丁寧に選ぶ

施設選びは慎重に行いましょう。複数の施設を見学し、納得できるところを選ぶことで、罪悪感を軽減できます。
施設見学では、スタッフの対応、入居者の様子、施設の清潔さ、提供されるサービス内容などを確認します。実際に入居している方やその家族の話を聞くことができれば、より具体的なイメージが持てるでしょう。
料金やサービス内容だけでなく、施設の雰囲気や理念も重要です。親がどのような環境で過ごすことになるのか、しっかりと確認してから決断しましょう。
施設選びのチェックポイント
・スタッフの人数と対応の質
・入居者の表情や雰囲気
・施設の清潔さと設備
・提供される食事の質
・レクリエーションやイベントの充実度
・医療体制や緊急時の対応
・面会のしやすさとアクセス
入所後も関わり続ける姿勢

施設入所は「親を預けて終わり」ではありません。入所後も定期的に面会し、親との関わりを持ち続けることが大切です。
定期的な面会で親の様子を確認し、必要に応じて施設スタッフと情報交換をしましょう。親が施設での生活に慣れるまでは、特に頻繁に顔を出すことで安心感を与えられます。
外出や外泊が可能な場合は、一緒に食事に行ったり、自宅に連れて帰ったりする機会を作るのも良いでしょう。施設に入所したからといって、親子の絆が切れるわけではありません。
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親を施設に入れた後の気持ちの整理
施設入所後も、様々な感情が湧き上がってくることがあります。これらの気持ちとどう向き合うかが重要です。
寂しさや後悔の気持ちへの対処

親を施設に入れた後、寂しさや後悔の気持ちが湧き上がることがあります。これは自然な感情であり、決してあなたが冷たいわけでも、間違った決断をしたわけでもありません。
親がいない家に帰ると、急に静かになった空間に違和感を覚えるかもしれません。親の部屋を見るたびに、「これで良かったのだろうか」と自問自答する日もあるでしょう。
このような気持ちを感じたら、無理に抑え込まずに受け入れることが大切です。寂しさや後悔を感じることは、あなたが親を大切に思っている証拠です。時間が経つにつれて、これらの感情は落ち着いていきます。
親が環境に慣れるまでのサポート

親が施設での生活に慣れるまでには時間がかかります。入所後しばらくは「家に帰りたい」と訴えることも少なくありません。
しかし、これは新しい環境への戸惑いから来る自然な反応です。ほとんどの場合、3ヶ月ほどで環境に慣れ、施設での生活を受け入れられるようになります。
親が「帰りたい」と言うたびに動揺するのではなく、「少し様子を見てみよう」と落ち着いて対応しましょう。施設スタッフと連携しながら、親が安心できる環境作りをサポートすることが大切です。
専門家のサポートを受ける

親を施設に入れる葛藤や、入所後の様々な感情を、一人で抱え込む必要はありません。専門家のサポートを受けることで、気持ちの整理ができます。
こうした悩みを一人で抱える必要はありません。オンラインの相談サービス「ココマモ」では、介護や親子関係の悩みを相談できます。あなたの気持ちに寄り添いながら一緒に考えていきます。初回20分の無料相談から始められますので、一人で悩まず専門家のサポートを受けてみませんか。
ケアマネジャーや地域包括支援センターの相談員、施設のソーシャルワーカーなども、あなたの悩みを理解してくれる心強い味方です。正確な情報と適切なアドバイスを得ることで、より良い決断ができるでしょう。

葛藤を抱えるのは、真剣に親のことを考えている証拠です。専門家と一緒に、親にとっても自分にとっても最善の選択を見つけていきましょう。
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親を施設に入れる時の葛藤を乗り越えて:まとめ
親を施設に入れる時の葛藤は、多くの人が経験する自然な感情です。罪悪感や「親がかわいそう」という気持ち、介護負担の限界と自己犠牲の間での葛藤、施設に対するマイナスイメージからくる不安など、様々な感情が複雑に絡み合います。
しかし、親を施設に入れることは「見捨てる」ことではありません。むしろ、親のためでもあり、家族関係を良好に保つための選択です。専門的なケアを受けられ、適度な距離を保つことで、元気だった頃の良好な親子関係を取り戻すことができます。
施設入所を決断したら、親への説得は段階的に進め、納得できる施設を丁寧に選びましょう。入所後も定期的に面会し、親との関わりを持ち続けることが大切です。
入所後に感じる寂しさや後悔の気持ちは、時間とともに落ち着いていきます。親が環境に慣れるまでには3ヶ月ほどかかることを理解し、施設スタッフと連携しながらサポートしましょう。
親を施設に入れる決断は、決して簡単なものではありません。しかし、葛藤を乗り越えて下した決断は、親も自分も幸せに生きるための勇気ある選択です。一人で悩まず、専門家のサポートを受けながら、最善の道を見つけていきましょう。
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